飛頭蛮

 暗月の光無き海岸線に佇む。寄せては返す波の音ばかりが聞こえる。やがて目が慣れて、星明りか、わずかなながらの光で、波打ち際の砕ける波が見える様に、なる。遠くに見える様になる。そして… 見える。海から上がって来る「ヒト」。白い身体が、何も身に付けぬ身体がボウと闇に浮かぶ。ひとり、ふたり、さんにん… 表情の… というか、顔が、頭が無い。首の太さのまま先細りの、まだ使っていない筆の先の様な、白い、魚の腹の様に白い… よにん、ごにん、ろくにん… そんなモノが両肩の間に生えた「ヒト」。ひちにん、はちにん… あとひとり、来たら、今夜はオシマイだ、さあ行こう。この世界の事を教えてあげよう。今までの世界の事は、忘れて暮らせる様に、空からやって来る「アタマ」も紹介してあげよう。こうして昔から私達はナカヨク暮らしているのだもの。2人そろえば、2種類のイキモノが適合できれば、我々はここに住む人間にそっくり。この中つ国で暮らしていけるのだもの。私達の様に。20171112-2
スポンサーサイト

過ぎ去りの予感

 図書館に電話がかかってきた。今朝の新聞読んだんだけど、本借りて返さない人がいて2万冊の本が消えている、ってホントなのか? ウチの図書館はダイジョウブなのか? って利用者からだったんだけど、あはは、ダイジョウブですよお、ウチは長期未返却で除籍するのは年間80冊もありません。それより問題なのは図書館員の高齢化、後継者育成放棄。本は消えませんけど、図書館員はもう確実に消えていきます… って事は近い将来、図書館が消えるんですよ! …言えなかった。あくまで私の私見だからね、勤務中にそんな事は… でもお客さん、4年後にビックリするだろうなぁ。自分の利用する図書館がこんなに変わっちゃうなんて。あの時、本当に自分が知らなくてはならない事が何だったのか、思い起こしてくれるかなあ。そうなった時に「知らなかった。私は聞いてない!」みたいな事は言って欲しくないなあ。 …ああ、思い出す。あの8月の暑い日以後、全てがひっくり返ってしまったあの頃の事… 20171117-2

調査票の顛末

 あはは、本社から調査票が来た。何か問題はありますか? 仕事はどうですか? 言いたい事はありますか? ってのを調べる申告書なんだけど… 社長も変わったし、我が部署は危機的状況なんで思いっきし書いた。早急な成果を期待できない部門だけど、ここを疎かにしてわが国に未来は無い、なんて… そしたら、社長は年頭訓示で、全社員の申告書の内容を読んだが、文句・愚痴が多い! だって… ほぁあ… 申告書に愚痴なんか書くかよ、書いたのは改善すべき問題点だよ! そりゃあ不平不満を書く社員がいないとは思わないけどさ。で、社員全員のを読んだんだって? ヒマだね! 仕事の効率化を常に念頭に、なんて言ってるのに、他に社長としてする仕事は無いんかい? で、結果が愚痴が多い、ならまあ来年からは調査票が来る事は無いだろうな、まあいいや、その方が無駄な仕事がひとつ減る。 …しかし、不平不満愚痴なんだ… 俺達の具申は… 潰れるかもしんない、この会社… 
 勢いに任せて言いたい事を言う、ってのは嫌だから、1年間寝かせたけど… 状況はあんまし変わらない。相変わらずやる事はイキアタリバッタリ… けど、まあ、良い事もある。1年間は潰れなかった。20161018-4

「頭が重い…」残業中に同僚が呟く。事務所にはソイツと俺と2人しかいない。午後10時を過ぎた。フロアの照明も俺達のとこだけ。俺の方は一区切りついた。 そんで、そろそろ引き上げるかな? なんて考えていたんだが。 「大丈夫か? そろそろ帰ろうぜ。 明日だってあるんだし…」言いながら頭を抱えて俯いているソイツのデスクの横に移動する。 「頭が、重い…」ヤツは繰り返す。ノートPCは膨大な数字を載せたExcelが開きっ放し。ほんとダイジョウブなのか? コイツ。横の椅子を引き出して来て座り、俯くソイツの肩に手を… 「おい…」 ゴツ! すごい音がして机上にソイツの頭が落ちる。同時に「あ~! スッキリしたぁ!」ガバと立ち上がり両手を左右斜め上方に伸ばすソイツ。身体が完璧なY字型。 …完璧なY。頭は机の上に、ゴロリと落ちたまま… 20171115+

天神町集団幻視事件

 昔の話。当時の友人2人組が某地方都市の四つ辻で、まあ銀座で言えば四丁目の交差点みたいなトコで、2人であらかじめ決めておいた空の一角、某デパートの屋上より300メートルくらい上、くらいを指さして「アレ、ホラ、何だろう?」「え? ああ、アレ、ホント、ナンだろうねぇ?」なんて路上でやってた。ときたま友達の指さす方向を見る人もいたりして、でもシツコク続けてるとだんだん人が集まって来て、見上げる人も増えてきて、中には「ああああ! ホント! 見えた! ナニあれ!」みたいな事を言う人も出て来たんでこりゃマズい、ってんで逃げる、その場を離れる事にしたんだけど、その時、チラと見上げた空に確かに黒いナニカが見えたんだ、とソイツラは言ってたけど、誰が信じるか!  …と、思っていたのさ、 …だけど、「天神町集団幻視事件」なんてのを45年後に図書館の地方史文献で見付けちゃうと… でもなんで3人も死んだんだ? 何回読み返しても、状況が解らない… 20171112-3

プロフィール

Author:KU2
 改行が嫌いです。嘘とイイカゲンが好きです。…改めまして、FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR