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御客様

「はい、お電話ありがとうございます。私タチバナと申します。」マニュアル通りに電話を取って応える。「あの~、そちらのベンチの所に財布を忘れたんですが…」女性、年配の、80前後かな? 「お財布をベンチに、あのどの辺りの? ああ、ハイわかりました。確認いたしますが、おかけ直… お待ちいただけますか。ハイではすぐに確認いたします。」アレアレ、でも財布を無くしたらアセルよなあ。
「お待たせいたしました。ロビー全ても確認したんですがお財布は在りませんでした。どこか他で、と言う事もございますから警察に遺失届を出された方が」ハアそうですかありがとうございます、とかナントカ語尾の方はフシュルシュルと言った感じで電話は切れた。
 翌日。「お~い。タチバナ、電話」発信者の名前を聞いて嫌な予感がした。「あのそちらに置き忘れた財布なんですが…」「ハイ、昨日お話した通り、こちらにはありませんでした。その後、フロアの係りの者にも確認したんですが、やはりありませんでした」「困るんです。中に入っていたのは二千六百円くらいの、あなたにとってはハシタ金かもしれませんけど、あれがないと私」オイオイオイオイ、ヤバい? 「御客様? おわかりになりますか? こちらには無かったんです。警察に遺失届を」ガチャン! 電話は切られた。
 次の日。「タチバナさ~ん、電話ですよ~」もう最初から悪い予感、予感? 悪い確信しかなかった。「タチバナさん、あなたの携帯の番号を教えていただけませんか。私の財布を返してください。あなたの奥さんが病院に勤めている事は解かってるんですからね。あなたにとっては遊びでも、私の大切な生活のためのお金返してください、返して、返してぇ、返してええええ!」
 なんだ? 何なんだ! あああ、そそうだ言ってる事メモしといた方がいい、時間とかも。机の引き出しを開けて筆記具を出そうとした。開けた俺の机の引出しの中に薄汚れた女性用の紅い財布が。電話が叫ぶ「返してえええええええええ!」20160228+
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600万年の孤独

 人類はついに完璧な人工知能を創り出した。ゴーレムとかロボットとかアンドロイド、昔はなんかそんな言い方だったんだっけ? まあいいや、そんな人工知能を、わが国の総力を挙げ、企業各社も協賛し、完成させた。車を運転する、そんなバカでもできる ―ああゴメン、免許試験に落ちた人、俺も落ちたから心配すんな― って慰めにもなんないか。まあ、そんな単純な事しかできないオモチャじゃなくてホントの人間を超える、超人的知性を創り出したんだ、新人類、新造人間。でもやっぱ、機械さ、スイッチ入れないと動かないの、はは。で、記念すべき起動の日、大々的な式典が開かれた。孤独だった我々人類に親友が産まれました、とかなんとかいろいろな挨拶があって、それから、このプロジェクトを進めた中心的人物が、この人工知能のスイッチを入れた。全世界に配信されているその式典のクライマックスで、スイッチを入れた人工知能がやった事は、自分のスイッチを切る事だった。 …え? 中心的人物は ―タイガイ政治家だよね、でその通り― 慌ててもう一度スイッチを入れたけど2度目の起動は無かった。人類の親友は産まれた日に死んだ。なにが原因だ? みんな考えた調べた議論した。いろいろいろいろ調査して、多角的に検証して、そんで、わかった。人工知能の判断は「この世界は生きるに値しない」だったんだ。 …自殺者が増えた。20160110-5

奴の歌

 昔、友人が、ある日を境に連絡を絶ち今は行先不明となった友人が口ずさんでいた歌がある。夕陽でオレンジ色に染まる小汚い奴の下宿でバーボンを、と言いたいがJINROに安い合成レモン果汁を入れて… 本物のレモンは高価で手が出ないんじゃねえ、メンドクサイからさ、と自分を騙し、hi-liteに火を点けてた。(警告:喫煙の習慣は貴方の身体を蝕み… ああ、五月蠅いな、この世界は俺を蝕んではいないのか?)未来は無かった。卒業までの猶予期間は1年を切った。糊口をしのぐ目処は無い。先がない、陽が沈む、祭は終わった。そんな時、奴は歌うんだ、あの歌を。 おんぼろのギターを、チューニングにだけは時間をかけたギターを奏でながら。 ♪かっわぃい かっわぃい さっかなやの おくさん❤ ああああああああ! これから先どうしょお? 生きる方法が見つからない。死ぬしかない? 金を稼がないと、だって金がないと… 死ぬしかないの? 死ぬ? 奴の歌と一緒、この先は無い 無いんだ。 …いや、でも、ひょっとして… ひょおおおおおっとしたらあああ… 後輩。安心しろ。なんとかなる、なんとかなるんだ、人生は。で、実際なんとかなった。あれから俺もそこそこの仕事に就けたし、友人も教師になった。それだけじゃないぞ、奴は喫茶店のマスターにもなったし、今は、今は… 知らない。何かにはなってるだろうな、死んでなければ。だって今でも、あの日みたいな夕陽がオレンジに空を染める時に、俺が少し時間の余裕があってやっぱり少しばかりセンチになってると、歌が聞こえるのさ。あの歌が。どこからともなく、おんぼろギターで伴奏が入り、あの奴の調子の外れたボケッとした声で歌う奴の魂の歌が… 少しばかり、スローテンポで… ♪かっ わぃ い かっ わぃ い さっ か な や の… だから奴はきっと生きている… 20160221-3

終端器

 今いろんな仕事が機械に奪われようとしている。驚いた事に肉体労働だけじゃなくて、弁護士の仕事の様な知的労働も人工知能に奪われつつある、って何かで読んだ! ホント? そーいや、車の自動運転が実用化されれば“運転手”さんて、廃業? じゃ、政治なんてほとんど富の再分配なんだから、政治家よりコンピュータの方が向いてると思う。だって、俺の職場でよく文句を付けるお客さんも「システム上できないんですよ」で、妙に納得してくれる事が多かったぜ。機械が決めれば消費税だって10%OKじゃないですかぁ? 機械に支配されるんじゃない、もっとクソな人間の支配から解放されるんだああああ! 架空請求も、不倫も、贈収賄もしない電脳政治家様バンザイ! そして、無人化した国や会社で工場で、素晴らしい消費財が量産され、さて、それを買うお金を私達はどうやって稼ごうか? 20160121-2

this size? Death scythe?

 TVとかでよく見る、あの風力発電の風車。適正な大きさはどのくらいなの? 地平線とか水平線の見える美しい自然、ってな景色の中、巨大な風車が回ってる。風力発電の風車。あれ見てるといつも思うんだ。あの大きさは誰がどーやって決めたの? あのサイズは正しいの? ってのはね、いつかあれも壊れるでしょ。修理してる時電力の供給は止まる、よね。巨大な風車が3台だったら、1台修理もしくは作り直しするのならその間供給電力は3分の2に減る、よね。修理代も巨額。じゃああの風車が小型で30台だったら? 4~5台いっぺんに壊れても、ヘーキじゃないの計算上? もちろん今の巨大風車のサイズとか台数は、維持管理、運用効率、事故が起きる確率とかイロイロ複雑な計算をして決めてるんだよね。わ~い! こんなに大きいの造っちゃったぞ! スゴイだろ~! なんてだけで造ったわけじゃないよね? ホントは、小さいのを大量に設置する、その方がいいんです。なんて事は… ないよね? イメージ優先なんて事は、無いよねぇえ? 原子力と同じく死神の振り上げた大鎌、一度振り上げたら誰かの魂を必ず刈る事になるアレ、じゃないよねぇええええ? 20150520-3

13階+

 で、その宿直と言うか巡回管理と言うかガードマンのバイトで夜勤してた13階だとオレが思ってたビル。グレーチング、格子状鋼材の非常階段がビルの後ろに付いてて、そこを1階から13階まで歩いて登って非常口が施錠してあるかを確認するんだ。高所恐怖症気味のオレだけどダイジョウブ! 巡回は午前1時であたりは真っ暗、あんまり高さは気にならなかった。まあ、気楽なバイトだったんだけど、なんだけど、 …一度だけ変なモノを見た事がある。いつもの午後1時過ぎ、20分ごろか? 9階から10階へ階段を登って10階の踊り場が見える。ここも格子状で下はスケスケ、昼間だったらコワいよなと思いながらもなるべく考えない様にして真っ暗な中、階段を登っていると、目の前に白いロープの様なモノがツーと降りてくる。え? と思う。また白いロープがツーと上から… よく見るとそれは白い乳白色の粘性の強いゲル状の液体? ああ、大量のハチミツかスライムが、白いドロドロネッチョリが上の階の格子を通って流れ落ちてくる? 何なんだ? 落ちてきたソレは10階の踊り場に溜まり集まり盛り上がってゆく、ここも床は格子状なのに? そしてプルンと直径1メートルくらいのオマンジュウ型となって、そして、だんだんぺちゃんこに… ああ下の階に流れ落ちてんだ。3分くらいでキレイに白マンジュウは無くなった。踊り場の格子にネバネバが付着している、なんて事は無い。キレイに何も残ってない。持っていた懐中電灯で格子の上から下を見ると9階の踊り場に白いモノが見える。で、とりあえず、10階の非常口を確認し、11階、12階、13階とゆっくり施錠を確認し、おまけに13階では煙草を1本喫った。そう、その頃はまだ喫ってたんだ。というワケでいつもより20分くらい余分に時間をかけて階段を下りて帰り、業務報告書には異常無しと書いた。だから、アレが何かはオレに聞くなよ、俺だって知りたいけど… いや、ホントは知りたくない。20160217-2

マイナス

 お金を預けていると利子を取られる? マイナス金利、ってそうなの? 普通はお金を預けたらその金を運用して利益を出すんだから預けた人にも利益を分配する、って話だよね。それがマイナス! 運用なんてとんでもない、盗まれないように預かってんだから管理料をもらわなくっちゃ、って事? だとしたら住宅ローンで金借りてると利子がもらえるんじゃね? ワオ! バンザイ! マイナス金利ワオ! なんてバカな事を考えてた。でも、じゃあ、銀行に預金があると… ヤバいよね、預け賃? 管理料? とにかく利子を払わなくちゃならないよね。ああ、そー言えば、子供の頃「利子」が理解できなくて預かったお金を運用するって意味が解かんなくて、銀行ってアヤシイ組織、マンガやアニメの悪の組織的組織だと思っていた。今考えると当たらずといえども遠からず、なんじゃね? …ああ、また無知をさらしてしまった。20160218-2+

13階

 チョット昔、ガードマンのバイトをしてた。建設現場の宿直。居ればいい、という気楽な仕事だったんだけど、仕事が増えた。午前1時ごろその現場を出て近くの13階ビルの非常階段を登って非常口の施錠を確認するっての。階段はグレーチング製、格子状の鋼材で出来てるから下が丸見え。オレ高所恐怖症気味なんだけどなと心配したけど大丈夫だった。まわりが暗くて高さの実感がないんだ。これならOK! ドア確認して階段上る、ドア確認して階段上る、ドア確認して階段上る、ドア確認して… 13回繰り返して最上階に付いたら降りる、でオシマイ。仕事は増えたけど、オキラクなのは変わらなかった。ラクショーってなもんだった。ああ、ケッコー美味しいバイトだったよなあ…
 月日が流れて、3日前。そのバイトの現場を、そこ中小企業向けの政府系金融機関になってたんだけど、前を通った。ああ、懐かしい、じゃ、あの13階ビルは確かこの角を曲がってコッチ… あら? 確かにここなんだけど、非常口の入口も階段も見覚えがあるんだけど、1,2,3…9階建て? は? 確か13階まで、登ってドア確認、登ってドア確認… 9階? ホントに? はあ? あああ、あの時オレ、ナニしてたんだ? …ハタラキ損じゃん! 20160217-2

追撃者

 道を歩いている、ゆるい坂道、そこを上ってゆく。さっきから潮の香りがする、この坂を上り切れば海が見えるはずだ、もうすぐ。やがて上り道は終わり下り坂となる。海も、見える、けど… 海岸が騒がしい、ここまでかすかではあるけど人の騒めきが、拡声器の声も聞こえる。そして見える、巨大な魚? ここからだから全体がやっとわかるスケール。あれ? クジラ? でも、クジラって、あんなにデカい? 恥かしながらクジラの現物を見た事は無い。そして弓状の海岸線の5分の2近くを占める巨体、それはもう、怪獣? そしてそれは生きていて、上陸の意思を固めているみたいだ。ゆっくりとだけれど不格好で巨大な頭? らしきものを陸地に向け、ヒレの様な足を動かしている、ゆっくりとだけれど。この辺りでやっと、拡声器の声は海岸の人々に迅速なる避難を呼びかけている、と気が付いた。怪獣は重力方向にかなり不自由な体型なので、つまりひらべったいので、その存在にまだ気が付かない人も多いのだ。小高い坂のてっぺんで足を止めてこれを見ている私は、怪獣の動きはゆっくりだし、距離はあるから安心して見ていられると思っている。でも、ナニか、変だ。不安が残る。ナニが… しばらく見ていてわかった。怪獣はまっすぐここを目指している。正確には、私を目指している。あのスピードとこの距離なら、だいじょうぶ逃げ切れるとチラと思ったが、Uターンしてもと来た道を走り下りながら、アイツはあきらめないだろうな、私を追い続けるだろうな、そうなるといつか… ごくりと喉が鳴り、飲み込んだモノは重かった。けど… 目が覚めた。自宅の寝室で、いつもの様に。はは、当たり前。夢さ、夢に決まっている。 …遠くで微かにサイレンが鳴っているけど。20160214-2+

愛は懲りーた

 ああ、あの議員さんは、つまり奥さんが出産するならば、私も一層子づくりに励もう、産む事は出来ないけど、産ませる事はできるっ! ひとりでも多くの子供をこの世界に… 君にだけ苦労はさせないよ、目指すは少子化対策担当大臣。 …なんちて。意味が違う? そうだよね。だってそうなら、避妊してたらおかしいよね、いや、そーじゃなくて根本的に変?
 でも、これって、生物学的には、繁殖行為としては正しいの? 産めよ殖やせよ地に満ちよ、の能力を行使するのは。いや、でも、そうなると、チャラ男の遺伝子が増えちゃうよね? 生物的に正しいけど、文化的にNG。なんちゃって… ああ、でも、こんな事で一番嫌な思いをしてるのは、愛無き結婚をしてしまってから、真実の愛に巡り合ってしまった人は… そーゆー巡り会わせの人達はエライ迷惑を受けてんだろうなあ。もちろん、急にお前との結婚はマチガイだったなんて言われる奥さんの気持ちも考えないといけないよねぇ。やり直しを認めない、ってのは変な話だけど、でも… 
 はい、ヘリクツです。昔子供の頃、ヘリクツ言うんじゃねえと親に怒られたけど、 …ああ、俺って確かに人が殴りたくなるような事言うよなぁ。20160215-3

カントリーマン

 ムカシうどんの国に住んでいた。中学から高校生の時の事。その時住んでいた住所には「下(シモ)」って文字が付いていた。で、クラスメイトの住所には「上(カミ)」が付いていて、俺の事を「シモだって! わ~い! イナカも~ん!」 …何も言い返せなかった。あまりにガキな台詞に驚いて。いや、別に日本なら川をイメージすると上流「山=田舎」で下流「河口=都会」じゃないか? とか、「山の手」「下町」とかはあるよね、なんて事じゃない。俺が言い返せなかったのは、そんな事じゃない。俺は転校するその前には、きしめんの国に住んでたし、その前は豚骨スープの細麺の国にいたし、その前は… ああめんどくさい! 福岡の前は埼玉で、その前は東京だよ。日本の半分のエリアをアッチ行ったりコッチ来たりしてて、ああ日本も狭いな、なんて思ってたのに、極東の小さな島国でその島の1地域の町名のカミだシモだで都会だ田舎だ… アホらしくて何も言えませんでした。今、少し老人に近くなったんでこうして「怒り」がぶり返しちゃってるんだけど、その当時はホント、「はあ?」ってなもんでした。器がちっちゃい人間っているんだなあと思ってました。あ! …って事は俺、小物に成り下がったんだ… 老いては駄馬、か…  20160122-2

アホのリフレイン

 昔、大学生の頃、友達がいたんだけど、俺が思うにそんなにモテる奴だとは思っていなかった。ところが… そうです、今回はそんな話です。
 で、ある日そいつは結婚した。ええ! 「学生の分際で!」と驚いた。疎遠になり、次に会ったのは半年後で、子供が産まれたと聞かされた。えええ! 計算あわないぞ! でも「もう、お父さん、なのかぁ!」とビックリしてると、次の再会では浮気した、なんて話があって、ええええ! 「…」なんて仰天してると、離婚したと本人から連絡があった。「やっぱ浮気はマズイよね」なんて言って… 無かったかな、懲りない奴だから。
 でも、それを聞いてる独身の彼女もいない俺、何か高校の体育の時間、トラック競技で周回遅れになった時のことを思い出してとても嫌な気分だった。しかも! 何周遅れなんだ? なんて頭を離れない疑問が… ああ、ほんんんんんんとうに本当に、モテなかったなあ、俺。 …かった? 過去形? はい、もちろん今もモテません。20160211++

清き一票の格差

 選挙が始まると、いつもいつもいつもいつも思う事がある。なぜ、投票は「支持する人、当選させたい人」に投票するんだろう? そんなんだから、ただただ名前を連呼されて、「うるさいなあ」と迷惑に思っていても、「名前じゃなくて聞きたいのは政策や方針!」と考えていても、車を走らせて繰り返される名前のどれかに「まあ、選挙カー出さない奴よりマシかも」と名前を書いてしまうのだ。 …だから、落としたい候補者を投票する方式にすればいいのだ! そうすれば名前の連呼は逆効果、選挙速報でも「今、たった今□□候補者の落確がでましたあ!」なんてね。 …でもそうするとナンニモしない奴が選挙に有利、となるのは、変だよなあ、嫌だよなあ。 …ああ、選挙って難しい。20160212+

100まんびきのおおかみ

 ああ、「赤子の手をひねる」って慣用句がある。でも、ホントに易しい? って話を聞いた事あるけど、ホント、あんた出来る? 微笑んでる赤ちゃんの腕をポキ あああああ! 想像するだけで気持ち悪く不快! 言葉の意味としては「簡単そうに見えて難しい」違う「絶対出来ない」でいいんじゃない? でも… それを笑いながらやってしまう人間が実在するんだよなぁ。子供を殴ったり煙草の火を押し付けたりもっと酷い事も… 何でだ? ムカシ私はそーゆー事をする人は自分も同じ事をやられた人だ、って思ってた。「これでチャラ(公平)」って。(2014-08-30 俺の居るトコロ) でも、その人は少なくとも生き延びて大人になれた。そう、同じ事を返してるわけじゃない、憎しみは報復は倍加する? …殺しちゃう、って事がある。ああ、でも許すって事もあるし、反面教師としたって人もきっといる。何なんだ?  …たぶん、人間の自由度はムチャクチャ。で「人は何だってできるんだ」って言う時、普通プラスの面ばっかり思い浮かべる。宇宙へ行く、新薬を開発する、相互扶助のシステムを構築する。人の可能性は無限。 …けど、マイナスの方も無限。大量に殺す、苦しめて苦しめて苦しめる、希望を奪う、うう、人の可能性はこっちも際限なし。人は両方の意味で無限の可能性を持つ。 …となるとそれを選ぶのは自分? ああ、なんて安直な結論、ではないと思う。二者択一? 光と影、正義と悪、愛と憎悪どちらを選ぶ? じゃない、それは、快と不快だったり、カッコいいとカッコ悪い、ピンポン!とブ~!、AとB、場合によっては▲と▼? いやいやいやいや、二者でさえないんだってば、100万匹のネコの中の1匹を選ぶような行為なのかもしれない… 心の中で戦っている狼は決して2匹じゃない、そしてどれが正義? 正解? それがわからない、それが現実、やれやれ。20160130-2+++

残滓

 うるさい… とても、とてもとてもとてもぉお! ウルサイ! 2年、2年間だよ! 朝から晩まで「でてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけでてけ出てけ!」隣のババア、こっちがニートのひきこもりだとバカにしやがって、一日中、際限もなく「でてけでてけでてけでてけでてけでてけ出てけ!」しつこく大音量で流しやがって! まったく! オフクロは何であんなのをほっておく? うるさくないのか? オヤジは? 平気なのか? はあ、くそくそくそくそくそクソおぉお! もうもうもう、もお! 我慢できない… 何時だと思ってんだ今! 窓の鍵を開ける、手が震える、あああ、うまく開けられない、2年間開けてないもんな。でも、でもでもでも、窓を開けて怒鳴ってやるぞクソババア! 鍵に手がクソクソクソ! その時、背後のドアが開く。ババアが立っている、何で家の中にいるんだ? 窓の鍵が動く、窓が開き、雨戸も… 明るい光が部屋になだれ込む。積まれた段ボールや衣装ケースがあふれとても人が住める状態じゃない、2年間も。これは… 
「いないね、成仏した。間違いない」ババアは言うけど、まだいるよぉ、俺はかなり小さくなってしまったけどシッカリいるよぉ。でも、もうすぐ消えるんだろうな、しかたない、思い出した、全部何もかも。2年前、この部屋で、まだ俺の部屋だったこの部屋で、ドアの上の戸当たりにロープをかけて首を吊った。それからずっと…
「それから、ゆーとくけどね、成仏したのはあんたの息子の魂じゃないよ」え? どゆこと? 俺は俺じゃないの?
「アレはあんたら夫婦の息子に拘泥した結果だよ、執着心が産んだマボロシだよ。だからこれは」手にしたラジオカセットプレーヤーのスイッチを入れた、読経の声が流れ出す。「あんた達に聞かせたんだ、あんたらの心に焼き付けられた息子を消すためにね」 俺はぁ、俺ですらなかったの、か? 親の残滓? はぁ… 20160202-3+

幸福氷菓

 人と人とが解かり合えるなんて幻想だ、悲惨な戦争みたいな事件が起きるたびにそう思うんだけど。 …けどね、昔、好みの車について職場の同僚と話してた。昼休みの無駄話さ。どんな車が好き? 外観がハデハデとか、戦闘的なのは… いやだな。どっちかってゆーと小型車。そうそう、相手がうなずく。でも、走る事に関しては、車だもん、妥協はしたくないですよね。ウンウン、俺もうなずく。そーゆー性能に関してはアグレッシブ、なのって良いんじゃないですか、そんな車が… あああ、わかるわかる、でもなんか言葉が足りない… ってとこで閃いた! 例えて言うなら… 「ヒツジの皮をかぶったオオカミ!」ハッピーアイスクリーム! アハハ、笑っちゃったよ、同時だもんな! アナタとワタシの思考がシンクロ! なんか嬉しかった。幸せだった、それは幻想かもしれないけど、一瞬の光芒だけど。ああ、でも、好みが違ってたらアンハッピー? いやぁ、そんなこたぁないっ! そんな議論も楽しいし、たとえアイツの趣味はサイテーだ! となっても、人はもっと話し合うべきだと思うよ。俺は話したいね。言葉で相手をやっつけるのも楽しいし、視野をムリヤリ広げられるのも楽しい。そして、独りにならないために、悲しくならないために、幸せになるために話す話せ話そう! え? んで、さっきのハッピーアイスってナニかって? えええええ! 知らないの! ハッピーアイスクリームってのはね… 20151120-3

人間ドック

 人間ドックってなんだ? ワンワン、犬か? ドッグじゃねぇ! なんてね。でもホント、ここまで生きてきて行った事ないの、人間ドック。十何年か前にさ、知り合いのお医者さんに体調悪かったんでソレっぽいのやってもらった事はある。体調不良でやるのは保険がきくんだよね、だから。まあその時は異常なし。でも、もうだいぶ前の事だから、今現在の健康を保証するモノではありません、てなもんだけどね。
 俺の親父は町医者に要精密検査、すぐに大きな病院で再検査を受けてください、って言われて紹介状まで出してもらったけど、肝臓の癌が手術できなくなるまで精密検査を受けなかった。で、行った時は「御家族と来てください」ってなもんだった。親父は体調悪いから町医者に行ったんだろうけど、そこで出された指示を無視した。何でかは知らない。
 で、俺だ。体長は悪くない、風邪をひいた時に咳と熱が出て、二日酔いの時には頭が痛くなる。だからまあオオムネ健康。今のところ親父よりマシ。で、これから先も人間ドックに行く気はない。身体は死ぬまで使えればいいのだ、それ以上のメンテナンスは無駄、コスパが悪い。それに、だってコワイじゃないか「お酒はひかえてください」なんて言われるのは。20160206

アニメを見てる

 昔、牛乳パックでハガキを作る、ってのが流行った。洗った牛乳パックを開いて裏表のポリエチレンをはがし細かくし、ミキサーにかけてドロドロにしたのを… ああ、作り方の講座じゃないんだ、ソレはどっかのHPを見てくれ。まあ、紙漉きを家で簡単に、ってのが流行ったんだが、友人は、ああ、俺のトモダチはね、開いた牛乳パックを100×148㎜のサイズに切ってそのまま、私製ハガキとして… いや、出せるのかどうかは知らない、見せられただけだから。でも、こーゆー小ふざけた奴は、楽しい奴等は… みんなどこかへ行ってしまった。みんないなくなってしまった。引越した。電話がつながらない。年賀状が戻って来る。…死んだ。カエル殺しのカワサキ君、ジーパンの折り返しがスゴかったナイキ君、廊下の天井に貼りついたフトウミ君、眠いとアクセルペタルをベタ踏みフォールディング君… 
 …さびしいよ。苦しいよ。今身近にいる奴等はみんな真面目で堅苦しいの。明るく笑ってても、なんか違うの。ふざけた、楽しい、アブナくて不健全な奴等はみんな消えてしまった。いなくなってしまった。俺はハンパだったから、ニセモノだったから残されたのか? 許された? もっともっともっとアブナかったら、俺も奴等と一緒に行けた?  …それは無理だね。俺はハンパでニセモノだから。
 ああ、で、今ね、アニメ「おそ松さん」を見て最近チカゴロこのところ何時も毎回決まって臓腑をえぐられている。アレは少し、ちょっと、とてもキツい。20160204-2

クラス

 学校の教室で独り考える。クラスメイトが出て来なくなって1ヶ月、診断書が出て心の病気、なんだって。大丈夫かなあ、心配だなあ、学業の遅れが将来のつまずきの原因にならなければいいなあ。なんて心配は俺がすると変? でも… 心の病気って何なんだろう? あああ、もう死んでしまいたい… メソメソメソ… なんてのかなあ? きゃははははははははははははははは、はぅあ! アゲアゲ! なんてなっちゃうのかなあ? お見舞いに行った方がいいのかなあ? でも、手ぶらってワケにはいかないとなると… どうなんだろ… う~ん。 …あ、先生きた。ガラリと教室の扉を開けて先生が入って来る。「おはよう。出席を取ります。って言ってもタチバナ1人なのは見りゃわかる、か。」なんて言いながら先生は出席簿に1つだけ、俺のトコロにチェックを入れた。「ハア… しかしなあ、なんなんだろうなあ? 31人欠席、なんてこの状況」 先生、俺だってわかんないよ。あああ、言っとくけど、俺がみんなをイジメてる、なんて無いから、俺がみんなをシカトしてる、ってのも不自然だろ。ねえ、ホント、なんなんだろう、ねえ? この状況… 20160202-2

トラップ一過物語

 昔、サイダーのボトルに水、水道水を入れて、ここが難しいんだけど、いかにも一本飲めませんでした、取っておくんだからね、誰も飲まないでね風に見える量の水を入れるの。で、冷蔵庫に入れておく。フタはわざとユルクね、炭酸じゃない事がばれない様に。忘れた頃にドタドタドタと足音がして「お兄ちゃんでしょ! こんなしょーもない… 怒!★」と妹がひっかかった怒りをブチマケる。今となっては懐かしい、今考えるとほんんんとうに、妹の言う通り、しょ~もないイタズラだよね。 …ああ、でも一番ひっかかったのは自分だったな。自分のやった事を忘れ「もしかして…」そう思って水を飲むバカ、それは私です。20160131+

Gift

「ねえねえねえねえ! 来て見て! パパ、見て!」日曜日の朝、5歳の息子がうるさい。それでも、読みかけの新聞とインスタントのコーヒーを入れたカップを置いて2階の子供部屋に向かう親バカ、いやバカ親、か? どうせ最近マイブームのブロック玩具で超大作を完成させたか、モンドリアンか住宅間取り図かわからない様な絵を見せられるに違いないことは間違いない… ああ、昨日もうチョット早く寝ていれば、二日酔いでなければ、大人の余裕で接してやれるんだけど…
「なんだなんだなんだぁ! 朝からヘンなモノ見せるんだったらオシオキだぞぉ!」ああ、寝不足でギャグにキレがないな。でも… ! 子供部屋に入って全ての日常が消えた。マサキが! 死んでる? 部屋の真ん中で大の字になって横たわる小さな体、顔やパジャマのそで、すそから見えている手足も土色、土気色通り越してる。あれは親父が死んだ時に見た肌の色… 「マサキィイイ!」駆け寄り子供の胸に手を置く心臓は、鼓動は、息は、呼吸は… 無い! 「母さん! 救急… !」無駄だと知りつつも、振り返りながら立ち上がり、階下の妻に大声で、その時! 私のパジャマのすそをつかむ小さな手「ビックリした?」振り返ると笑いながら私を見上げ上半身を起こしている息子はもう普通の顔色、いや、ピンクで健康そのものの顔色。!?★!
 正気に戻るまで10分かかった。息子から話を聞く。しばらく前、テレビで見た人が死ぬシーン(もちろん、今のテレビだ。血も出なければ傷も無く「ううう、やられた~」と倒れるアレだ)が忘れられなくて、密かに練習を始めたらしい。で、どーゆー才能があったのか、能力が目覚めたのか、“完璧な死んだマネ”が出来るようになった、らしい。何しろ5歳児の説明だから、肝心な事は何も解らない。義兄さん、妻の兄が医者なんで、この“完璧な死んだマネ”を病院で見てもらったが、医療機械さえダマす完璧度らしい。そこで…
 私達は、私と妻と義兄はマサキに約束させた。この技をヒミツにする事、ダレにも見せてはダメな事。息子は「ヨシ君だけ、親友だから!」と言ったが、もちろん拒否。絶対誰にも見せてはいけない。この技はオマエがイザという時、誘拐されたり事件に絡んだりイジメにあって殺されそうになった時、トニカクそんな非常事態! って時だけに使うんだ、とやっと納得させた。ハア… 疲れた…
「でも、どうしてあの子があんな…」夜のリビング。頭を抱える妻の当惑は当然だ。私だってまだ… けど、今私はこう考えている。これはきっと進化の道筋、どこかの神様(私が信仰してる宗教は無いけどね)が子供に与えたそれなりの贈り物なのかもしれない。これから子供達が生きていく世界では、きっとあの技が必… 
「ママ! ママママ、ママ! 見て!」バタンとリビングのドアが勢い良く開いたが、ドアのむこうには誰もいない。ポタポタトタと小さな足音がしてアカネの、3歳の娘の声だけが何もない所から。「ママ! 見て見て! ワタシ見えなくなっちゃった!」 こんな技が必要な未来って一体全体… 20160129-2++

プロフィール

Author:KU2
 改行が嫌いです。嘘とイイカゲンが好きです。…改めまして、FC2ブログへようこそ!

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