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[箱]

 仕事から帰ってきたらアパートの玄関の前に荷物が置いてあった。下に降りて大家さんに聞いたらニュース見てないのかと言われた。 …ああ、そーいえば、今度国民の義務として二十歳以上の国民一人残らずに[箱]の保管義務が課されることにナンヤカヤ… って聞いた気もする。国会でエライ人達で決めたんだそうな。[箱]は30センチ立方、マスクメロンでも入ってたらうれしいな、ってくらいの大きさ。重さは、チョット重い。15キロ… ぐらいかな? でっかいペットボトル10本分くらい。で、ネットで調べてみたら保管って、別に家に置いとけばいいだけ。何をする必要もない。毎日水をやって日光に当てて夜は… なんて事はなくて押入れにでも入れとけばいいらしい。なんだ、簡単。良かった。でもそんなモンどうして各家庭で保管しなくちゃならないんだ? ワケわかんない。でも、まあ、いいか? それほどの事じゃない。って事で、この黒い[箱]を部屋の押入れの奥に突っ込んで、国民の義務はオシマイ。でも、それからしばらくして…
 夜中に目が覚めた。どっかで、誰かが歌ってる。かすかなキレイナ、ツキノヒカリの様な歌声、 …ハハちょっと詩的。気になって起き出して、どこで誰が… あの[箱]だった。押入れの奥の[箱]が歌っていた。ナンなんだ? そーゆーモノなのか? [箱]の中でヨウセイさんが歌ってる、3歳の子供でもいたらそー言ったに違いない。けど、そーはいかない。コッチはいい歳した二十歳以上の国民様だ。すぐに[箱]の担当部局に電話した。[箱]マニュアルにもあったしね。それで「すぐに家を出てください、歌声が聞こえない所まで」の指示に従い、回収車が来るのを玄関前で ―そこではもう聞こえない― 待った。30分もしないでその回収車は到着し、宇宙服の様な、そりゃホントの宇宙服なんてテレビでしか見てないけどそのくらいイカツイ服を着た3人が姿形とは裏腹にとても静かに部屋からあの[箱]を持ち出した、と思う。部屋に運び込み、しばらくして持ち出されたのは60センチ立方の白い[箱]だったから。その横で事務方? 深夜でも背広にネクタイの担当職員が「ご協力感謝します。ところで歌の内容を教えていただけますか?」とまっすぐにこちらの眼を見て聞いて来る。歌の内容、と言われても、う~ん、と唸っていると「あ、結構です。思い出す様な事がありましたらまた電話してください。それと… [箱]の保管は国民の義務ですから、後日新しいモノが届きます。よろしく保管をお願いします」とか言ってたけど、こちらは明日も早い… あ、もう今日か。んで、ああハイハイゴクロー様ですとか言って寝た。
 3日後、新しい[箱]が届いたが、これが歌う事はなかった。そして事務方の人が言っていた歌の内容、アレが引っかかって気になって仕方ない。そー言われれば、なんか、ナニか、大切な事を歌っていたような気もするんだが… でも、ケッキョク思い出せなかった。そんで、アレからあっという間に25年が過ぎたんだけど、今年の春からアノ国民の保管義務の[箱]が50センチ立方になった。大きくなった。今度は正方形のフットストールってとこ。ナンなんだ… 噂では今度の[箱]は、 …吠えるそうだ。20170730
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意味

 すごく深い穴の中にいる。決して整然とした地下通路、ではない。雑然とした、汚い、何かの破片と残骸が溢れる通路。歩いて歩いて歩いて歩いて嫌になる頃、壁に灯りが点いていて8ケタのメーターが在る。その数字をノートに記入して、先に行く。歩いて歩いて歩いて歩いて嫌になる頃、また壁に灯りが点いていて8ケタのメーターが在る。その数字をノートに記入して先に進む。歩いて歩いて歩いて歩いて… 灯りとメーター、8ケタの数字。歩いて歩いて歩いて歩いて、明かりとメーター、数字の記入。歩いて歩いて歩いて歩いて、メーター。13452315。26984758。33568459。69586478。11235926。32874659。69744589。58765214。23201756。33210597。92014621。32108655。23887863。23964569。22558314。何の数字なのか? 何の役に立つのか? 12985897。59258789。31869251。32214864。22210018。66352980。12494230。98217830。22846104。26941068。12878902。60225947。37913947。28852635。78411295。85813246。19852943。85464862。12847793。20237058。65409842。22809947。20642136。72214496。16845159。左足が、左足の膝に違和感が生じるようになった。長い、長い時間が経った、のか? 16596584。20532117。22597339。70129801。32204367。22648911。92017640。23698580。48973167。32542218。96599017。22146698。36483968。59878695。99987854。91487893。20154854。99854721。ノートに最後の数字を書き入れた。いつもの時間に“上”からの供給は無く、歩く事も出来なくなった身体。壁によりかかり指示を待つ。これに何の意味があるのか? 何かの役に立っているのか? これは何なんだ? 同じ事の繰り返し。けれど… 《OVER》
 すごく深い穴の中にいる。決して整然とした地下通路、ではない。雑然とした、汚い、何かの破片と残骸が溢れる通路。壁によりかかり機能停止の自分と同じ観測体を確認。歩いて歩いて歩いて歩いて嫌になる頃、壁に灯りが点いていて8ケタのメーターが在る。その数字13452315をノートに記入して、先に行く。20170730+

バス停の妖精

 学生時代山歩きをしてた。根性無いから、ああ体力も技術も財力も無いから低い山ってか、人のいない所をリュックかついでアッチコッチ歩いてた、んだ。当時からヒト、人間が苦手だったから。 …山歩き、じゃないな、こーゆー事に詳しい人なら「ああ、それは『徘徊』って言うんだ」なんてのたまうかも知れない。 クソッタレ!
 そんなある日、どっかの山奥のバス停の待合室? アレなんて言うの? バス停待合小屋でいいかなぁ? 昔のバス停には後方に雨風日差しや寒さをしのぐ小屋があったんだけど… まあ、そこで寝てたんだ。夏だったからシュラフは使わず、小屋の中の備え付けベンチに敷いてその上に寝てたんだけど、夜中に出るのさ、来るのさ。プ~ン、ってのが。ハハ! オバケだと思った? そんなんじゃないさ、プ~ン、さ。耳元でかなり大きな音になったんで、すばやくバシッと、 手の感覚がでかい! 人の頬を叩いたような! ナンなんだ! 枕元の懐中電灯を手に取り点灯 「ナンじゃこりゃあ!」ナニカを叩いた左手が真っ赤! 鉄臭い、血のニオイ。俺はナニを叩いてつぶしたのか? 小さな懐中電灯だけではわからない、見えない。プ~ン、扉の無い小屋の外、懐中電灯の光届かぬ四角い闇の向こうからプ~ン… 羽音じゃない? 声? ヒトの? いや、いやいやいや。そんな事はない。ゼッタイ… 無いと良いな。で、外が明るくなるまで起きていた。プ~ンは空が白み始めると聞こえなくなったけど、それから。荷物の中に蚊取り線香を加えたのは。…これで、大丈夫だよね? ね? 20170721-2+

ホトトギス

 昔昔聞いたんだけど、あの有名なホトトギスの俳句。鳴かぬなら殺してしまえとか鳴くまで待とう、とか鳴かせて見せよう… アレ。3つのパターンだけって無理がある? どっか外国から来た学生が「鳴かぬなら、踊っておくれよ、ホトトギス」じゃどう? とか言ってた、とか聞いたんだ。他にも、「鳴かぬなら、私が鳴こう」とか「鳴かぬなら、鳴かなくてもいい」「鳴かぬなら、一緒に遊べ」他にもどんどんどんどん出てきたんだって。ああ、いいよね。回答の幅を3つのドレカなんて決める必要はないんだ。じゃ俺は? 「鳴かぬなら、語り明かそう ホトトギス」なんてどう? ホトトギス、モット嫌がるか? 20170727+

散歩

 分裂気質だと言われた事がある。いや、分解気質、か? 自己が細分化し剥離していく症状、らしいんだが、よく理解してる、とは言い難い。 先日散歩してて最初の古書店で「右腕」を忘れた。左利きだからあまり不自由はないので気付かない。チョット歩いて次の書店で「喜」の感情を落とし、駅前の書店に移動する際「怒」の感情を紛失し、その駅前の書店では「哀」の感情を失い、次の店で左足、でも歩けるんだから不思議。そんで、いろいろ落とし、忘れて、でもこの狭い町で俺のこのメンドクサイ病気はそれなりに知れ渡ってたんで皆「しかたないなあ」と思い、俺のオトシモノを家に持って行ってくれたり、交番に届けてくれたりした。そんで、俺が家に帰る時までに俺の「喜怒哀楽」も両手両足も頭も胴体も家に届いていた。 …いい町だよなあ、ここは。 …で、問題は散歩を終えて家に帰った俺はいったい何なんだ? って事なんだけど… まあ、あんまし考えない方が、いいよね? 20170724+

赤い蛸

 奥さんに車に乗せてもらって、近くの巨大複合商業施設にでかけた。昼食の時、車の運転をしないんで、ビールを飲んでしまった。えへっへ、酒飲みなのさ。休日は昼間っから飲むの。だから午後3時ごろ? 立体駐車場を歩いて車に帰る途中。僕はトイレに行ってて奥さんは先に行ってて。で、駐車場の3階から隣の公園を見るともなしに見たの。散歩してる人がいた、おっさん。でも、赤い犬? アレ、犬じゃない。 …タコ? 蛸! テレビで見る水中撮影のタコそのままにリードを付けて? 空中を腕がクネクネ。地上20㎝くらいのとこをフワフワ… でもその蛸、マンガで見る様に赤い。茹でて死ななきゃ赤くはならない、よね? … おもちゃ、ジョークトイ? リード付けて蛸、散歩させんの流行ってんの? 違うよ、ね。 …て事は俺の幻覚? 俺もいよいよ? 晴れて? …アル中? ハ、ハハ、 …アル中? 20160509-2

オシマイの国

 あ。オシマイかもしんない。これから先がない。この国はタカダカ数年前に誰と誰が会ってどんな話をしたか、そんな記録さえないんだ。そーゆーのを作って保存しようともしないんだ。議事録ない。会議の基本じゃないの? これじゃあ邪馬台国がどこにあったかなんて永遠にわかんないよな。そんで、記憶が無いのも笑っちゃうよな、でも辞めないし、周りの人も辞めさせない。職務遂行能力に対して疑問を持たないんだ。すごい国だな。もう、今の首相とか防衛大臣がトカなんかそんな問題じゃない気がする。これは、もっと根源的に情けない酷い状態で、正直なところ私はもうダメなんじゃないか? と、思ってる。回復の可能性のあるトコロは過ぎてもはや後戻りできない坂を転げ落ちているのがこの国の現状なのでは? なんてね。でも、子供が産まれないんだ。この国は。もうそれがこの国の行く末を語ってるでしょう? どんなお偉いさんや専門家や俺が何を言ったって、どんな事を言ったって、それはペラペラの底の浅い人の心に響かない言葉で、だからこの国、子供が産まれないのだ。女の人が「産もうかな」なんて思わないんだもん。 …未来はない。20170531-4

獣の子

 森の中に立っている。深い、他に人がいない森。けれど私は3歳くらいの子供を連れている。子供はフニャフニャと泣いている。不快なのか? 不安なのか? 怖いのか? でも私はかまわない、先ほどから対峙しているヒラヒラするモノを凝視している。ヒラヒラ… しているモノ。それは獣の皮。犬の様なイタチの様なカワウソの様な、でもそんな生き物をテレビと動物園と図鑑でしか見た事の無い私にはケダモノ、としか言い表わせない。そのヒラヒラするモノはかすかに白く光って浮かび、頭頂からつるされた中身の入っていないぬいぐるみの様にも見えない事はない。ソレは強く光り出し、手をかざし、目を細めてしか見る事が出来ない。けど、それは私にとってだけ? 「ヤクソク ドオリ」それはツブヤク。そしてソレの光の中から、ヒラヒラとした獣の皮の影から子供が現れる。私とそれは遠い昔の約束通り、ここでこうして子供を取り換える。私はソレの子供を街に連れて帰り育てる。私の子供は森でソレに育てられる。そして7年後、子供達を取り換える。それぞれ正しき血の元に。 そう、こうして私も育ったハズなんだが、森で暮らした時の記憶は無い。というか、私は自分がどちらの子供なのかさえ… 正直わからないのだが「7年後」と互いに声に出し誓い、 …そこで目が覚める。20160819-2

渋谷の日

 東急ハンズ渋谷店の前で声をかけられる。「タチバナ… タチバナじゃないかぁ… ああ、奇遇だなあ、こんなとこで会うなんて!」俺は相手を指さしながら「あ! ああああ!  …誰だっけ?」テレビのコントの様にガクッとズッコケてから大学時代の友人ヒガシダが笑った。懐かしいなあなんて話してると、「ヒガシダ? おお! 生きてたかぁ!」人混みを掻き分けて向こうからやって来る肩幅の広い男を俺は知らないけどヒガシダの友人らしい。
 ここ渋谷、今日は人で溢れ、昔の賑わいが戻ったようだ。 …ジイサンバアサンばっかだけどね。少子化高齢化が進み、思ってた以上に早く進行し、この国の人はどんどん少なくなっていった。それで広い世界にバラバラに居るのはさみしい、ってんで決まったんだ、今日は「渋谷の日」次の休日は「新宿の日」で、他にも「池袋の日」「赤羽の日」ナンカがあって休日を都心で過ごしたい人はそこに集まるんだ。他の所に行ってもいいけど、禁止されてる訳じゃないけど、たいがいの店はやってないし、道路や施設の補修は、そーゆー時にやってるから、たいがいの人は行かない。まあアミューズメントパークで今日は観覧車はお休みです。ジェットコースターは定期検査の日です、みたいな。それの反転した感じで、今日は渋谷やってます。明日は新宿やってます、となっちゃったわけ。だから、あっちこっちで「よお! ひさしぶり!」「あ~! ○○ちゃん!」となるんだ。 え? 銀座の日? それ聞く? オマエ新聞読んでないな。スマしか使ってないだろ?  …ないよ。あそこにあるのはクレーターだけだ。20170721+

怖い話をしよう

 怖い話をしよう。子供は怖い話が好きだ。「学校の怪談」や「マスクのお姉さん」の怪談話じゃなくても、「三まいのおふだ」や「オオカミと七ひきの子ヤギ」「赤ずきん」だって考えてみれば怖い話だ。なんで子供は怖い話を求めるんだろう? 俺が小さい頃どうだった? と考えてみると、怖い話なんてダイッキライだった。見るのも聞くのも、モチロン自分で経験するのもマッピラだった。今どき語られている怖い話、俺が子供だったら目をつぶり耳を塞いで「やめて~!」と叫んでるだろう。 …じゃ、なぜ今の子供は怖い話が好きなんだ? ひょっとしたら… 怖い話が好きなんじゃなくて必要としてるんじゃないか? ムカシ、俺が子供の頃、21世紀がまだ遠い未来だった頃、その未来は光輝いていた。でも今、未来は… 地球温暖化、環境汚染、社会格差、宗教・民族対立、テロ、そしてこの国は少子高齢化と社会的孤立に貧困児童もプラス。そんな激動の終末感あふれる今現在とこれからを生き抜くにはかなりハードな訓練を積まなくては… そう、今の子供達は知ってるんだ、本能的に求めてるんだ。人手不足でも賃金は上がらない。雇用形態は不安定化する。自然環境も社会体制も過酷なモノに変貌していく。自分達はそんな世界で生きていかなくてはならない、この残酷な世界を生き抜くスキルを方法を能力を身に付けるためには… 絶望と恐怖と悪意に耐える力を身に付けるには… 怖い話だ。20170718

「最終回」

 この国の人口が減ってゆく。1億2000万人以上いた人々が8800万人に… 50年後、だけどさ。50年で3000万人近くいなくなっちゃうんなら、その先の50年で5800万人、次の50年で2800万人、そして最後は… マイナス200万人?
 数学、苦手なんだ。でもこんな風に減っていくんじゃなくて最後は加速度的に人がいなくなるんじゃないかな?
 若い夫婦が赤ん坊を抱いている。この子の為にお婿さんを探しに、さあ、どっちに行く? 北は寒いから、南に行ってみようか? いいお婿さんが見つかるといいねえ。陸路は鉄道も道路ももはやその機能を果たせない。小さなヨットで海岸沿いを少しずつ南下して… この国、いや、この土地に今何人が住んでいるのだろう?  …なんて事になるのだろうか? 好奇心旺盛というか物語ダイスキなんで、最後まで知りたい、なんて考えちゃうんだけど、ホントどーゆー最後なんだろうか? この国の“最終回” …見てみたい。 20170413+

依頼

 ああ、それでも死んでほしくはないの。ぐったりとした息子の、5歳の子供の力の抜けた、いや魂の抜けた身体を抱いて、二度と開けないと誓った地下室への扉を開ける。そこにある祖父と創った機械。命の再生機。カバーを取り捨て棺の様な水槽を露わにする。使い方は忘れない、前にも使った。夫は生き返り、幸福な6年を過ごしたが、海外出張時の航空事故、遺体の回収は不可能、これでは手の打ちようがない。泣いた。しかし今回は… 衣服を脱がし身体を水槽に横たえる。バルブを開き、活性液を満たし、そして制御盤の…
 こうして息子は生き返り、生前と変わらぬ姿でここにいる。ただひとつの誤算は… この機械の本当の効果が、生命の反転、逆成長、若返りであった事。夫の事例では確認できなかったけれど、生き返った息子と1年を過ごして確信した。今息子は4歳。日々若くなっている。つまりあと4年で… 再生機の原理は今はもういない祖父の創った物、私だけで作り直す事は不可能。あと4年で息子は… いえ、まだ大丈夫。受精卵にまで戻った息子を冷凍保存し再度着床させる。その為に若い母体が必要、それも遺伝形質が息子と同じ。 …だから、私が死ぬからこの再生機に、使い方は教えるわ。報酬はこの機械の権利、さあどうする? 殺す訳じゃない、生かすの! お願い、私達を助けて! 20170704+

人格変化

 ウチのガス給湯器。最近取り換えたんだけど、前のは「お風呂が沸きました」と教えてくれたんだが、今のは「もうすぐお風呂が沸きます」って、沸く前に教えてくれるんだ。んでその後「お風呂が沸きました」と教えてくれるの。スゴイね。丁寧だよね。親切だよね。AIが、人工知能が入ってんじゃないか? なんて考えちゃうよね。
 そんでこの前さ、凄いゲリラ豪雨があって3分くらい停電したんだけど、それからなんだけどさ、ガス給湯器が「もうじき、お風呂が沸きまっせ」 ? しばらくして「お風呂が沸いたで」 ?? 関西弁? な、なにがあったの? ウチの給湯器に? 説明書出して来て読んだけどそんな設定や機能、なかった。 …何なの? 20170718+

君は独りじゃない

 深夜独りでファミレスに入る。「いらっしゃいませ。こちらにどうぞ」案内されたのは無人の、誰も座ってない12人掛けの大テーブル。片っぽがベンチでもう片っぽは1人掛けの椅子の。 え? 俺独りだからカウンターでも… なんて言う間もあらばこそ、タンタンタン! とお冷のコップが5×2で10個並ぶ。「ご注文が決まりましたらこちらのベルでお呼びください」 ワイヤレスのディナーベルを示しウェイターは去っていく。何なんだこりゃあ、なんの冗談なんだ?  …思いつつもベンチ側に座り、メニューを見てる時、はしっこの俺とちょうど反対側のベンチの近くにあるディナーベルが、チーンと鳴って赤く光った。 おかれたコップのほとんどは中の冷水が半分に… 何なんだ! ってか、俺は何なんだ? 20170715++

聞きまさがい

 カードローンって… 地上走行も出来る、カー・ドローン、かと思ってしまいました! …ウソです。ツクリました。 …少し寂しい。20170710-2+

日常

 仕事を終え家に帰ると奥さんが「ねえねえねえねえ! 今日ね、リビングでアイロンがけしてたらさ」 汗で重くなったシャツを脱ぎながら「おお! 何があった?」とアイヅチを返す。「あのね、アイロンがけしようとしてたらね、シャツの中からアリが出てきて」「ヒアリか!」ズボンを脱いで消臭芳香剤をスプレーしてからハンガーにかける。 奥さん「そう! そう思ってあわててティッシュで潰して、もう、タイヘンだったんだからぁ」 ズボンをかけたハンガーを納戸のハンガースタンドに引っ掛けながら重大な事を告げる様に「そうか… そりゃ大変だったな。じゃ、やっぱその時、 …ヒヤリとした?」 俺と奥さんは約5秒カタマって、フリーズし、奥さんは急に真面目な顔して「ううん、サブ~ってなった、今。 昭和初期ならねぇ~ オオワラヒ! かも知れなかったけど…」とても残念そう。 だけど、やがて、そしてそれから。俺達は笑ってシャワーを浴びて奥さんの茹でた枝豆とよく冷えたビールで乾杯をしたのさ、あああ、これこそがあらまほしきかな日常。 …おしまいっ! 20170706-2

幻視の朝

 明け方夢うつつで見ると隣に並ぶ奥さんのベッドのヘッドボードに赤い着物を着た女性? 赤い着物だから女性、と思っただけで、眼鏡をかけてない俺の視力でははっきりとはわからないヒト、ヒトかどうかも… ああ、ハナシ進まないなあ。 …ま、いたのよ。腰掛けてこちらを見て、笑ってるわけではないけどこう、口角を上げて、ニカってしてる口しか顔に無いのっぺらぼうで、不気味… けどそんなのウソに決まってる。寝ながら見上げるうちにいなくなる。 …ほら、いなくなった。 アレは何なんだろう。もちろんオバケ、妖怪のタグイなら面白い、もしくは怖い話になってくれるんだろうが、そんなもんじゃない。脳が覚醒する前のウォーミングアップ時の誤作動みたいなもんだ、と思ってる。人は世界を眼で見てるわけじゃなくて、眼からの情報を脳で再構成して見てると思ってる、らしい。だから眼からの情報じゃない信号を眼からの信号と勘違いして見てると思ってる世界を構築すると、アラ不思議! いないはずのオカシなモノも見えるのだ。ちゃんとわかってるんだ、俺は。だから、明け方部屋の隅に立つ黒い影の様な蚊柱の様なヒトも、天井にギッシリ、ミッチリ貼り付く野球のグローブくらいのヒトデも、ベッドの足元の方から覗くデカい顔も、みぃ~んな、みんな、 …シクシクシク、脳の誤作動、だといいなぁ。20170709

産まれてから13番目の後悔

 う~ん、すいません。すこしエッチな話題です。その手の話が嫌な人、不快な人は読まないでね。まあ、そんなに直接的なあからさまな話じゃない、と思うけど… 
 私は昔、「セーラー服」「ナース」だとかのキーワードにとても弱かった。弱い、というのは看護婦さんに「ダメじゃない!」と怒られると「スミマセン… メソメソ」ってんじゃなく、性的な興奮が惹起されるのです。まあ! いやらしい! そーゆー女性達とエッチな事が出来たらいいなあエヘヘ、なんて考えるんです、想像するんです、妄想するんです。 が! ここに問題が。その様な制服を着た女性とイイコトしようと服を脱がせるんですが(もちろん想像上の事)脱がせちゃうと残ってるハダカの女性は「セーラー服」もしくは「ナース」さんのヌケガラ… つまり、私の好きな「セーラー服」と「ナース」さんを規定するモノは制服であり、それを脱がしちゃうとただの女性… あああ! これをジレンマと言わずして… もちろんバカなガキではない今なら「セーラー服」と「ナース」にシンボライズされる衣服に規定されない要素=例えばナースキャップ=を妄想ストーリーに加える事を考え付くのですが、当時のバカな若いガキには制服しかないし、しかもハダカでなけりゃだめなのさ、さあ、どうする。そこで考え出された概念が「透明な制服」つまりビニールのような透明な素材で出来てる制服… ああ、他に考える事なかったのかぁ! 若い俺! 出てこい、殴ってやるっ! 「人生の無駄遣い」ってこーゆー事だと今は思う。切に。20170603-2+

茫漠の果

 昔、貸しギャラリーでバイトしてた時、ナントカ染の職人さんが来て、作品展を開きたい、と言った。持ってきたアルバムを見ると昔からの伝統の技術を使ってハンカチとかスカーフとかを作った人で、あ! ケッコー面白い、イケると思った。けど、話が進まないんだ。料金とか搬入・撤収時の注意事項とか基本的な事話して、でも次の打ち合わせでも同じ、料金とか搬入、撤収時の注意事項とか基本的な事聞くの。なんかオカシイな? と思ってたら、その人、若年性? ほら、アレ、記憶が定着しないってのか、物忘れがひどくなるって病気。若年性認知症、みたいな病気だったらしい。昔はどんな病名を言ってたかは、忘れちゃった。だから、半年近く何回か、10回くらい? 打ち合わせしたかな? でもついに作品展は開けなかった。最後の打ち合わせの時、ってか、予約のキャンセル、実施の断念を決めた時も、作品アルバムを持って来ていた。 …あの人。今どーしてるのかな? もうちょっと親身にサポートする人がいれば、最後に一花咲かせられたかも、なんて考えるけど、オマエがやればよかったのに、なんて言われちゃうとイヤだから言わないで書き残しとくだけ。ヒトは衰え、忘れ忘れられ、そして死ぬ。あたりまえの事だけど、とてもショックだった。今は… それが人生さ、なんて思う、たとえそれが己の身に起きたとしても。 …きっと。20170626-3+

反転症候群

 人の身体は遺伝子ってのが設計図でそれに従って身体は作られている。あ、ちょと違う、作られ続けている。道路の掘り返し工事が始終行われている様に、身体は壊れ作り続けられている。死ぬまで。で、その設計図を見て“身体を作る”システムが壊れたら… 身体の再生産はおこなわれない。それどころか、この機能が反転したら… 身体を壊して… 身体は… 弟の最後は小さなサルの様だった。小さな小さな妖精の様なサル… 再生産が成されず、どんどんどんどんどんどん小さくなって、身体が小さくなって、苦痛は無い、と医者は言ってくれたけど、それは残される者への配慮でしかないかどうかはわからない。 …で、小さく小さく小さくなって弟は死んだ。死顔は… 女児が遊ぶ着せ替え人形の様になって死んでしまった弟の死に顔はそれでも穏やかだったので、父も母も俺も、救われた。「苦痛はありません」医者はホントの事を伝えてくれたんだ… そう思った。けど、この病気はそこで終わらない。“身体を作る”システムの異常は時間・空間を超えて拡がる。父も母も俺も、この病気に感染していたんだ、既に。発症のタイミングが弟と異なっただけで… だから、両親の記憶から弟は消えた。弟は小さくなって死んだだけじゃなくて、産まれてこなかった事になってしまった。そしてこの事を語りうるのは産まれてこなかった俺。この俺が感染して反転したが為こうして弟の死を、両親の忘却を語るのだ。20170612-2

つぎ

 ジッパー開けて死んでる。まだ明るい帰宅途中の路地。ヒトじゃないよ。ネコが死んでるんだが、背中にジッパー、わかる? 男性だったら毎回トイレに行った時下げるアレ。女性だったらワンピースの背中に… ある? 俺、ファッション系の話には疎いんだ。 ま、とにかくそーゆーモノ、ジッパー、ファスナー、チャック、そんなのが横たわるネコの背中にあって開いていて、白いドロリとした、プレーンヨーグルトのカタマリ? つきたてのおもち? すりおろした山芋? そんな感じのモノがドロリとはみ出てるんだが… なんかのイタズラ? そう思って無視して先を急ぐと、今度はイヌ。 道からも見える庭にある犬小屋のそばにイヌが横たわり、その背中にジッパー。 やはり開いていて白いドロリとしたモノが… ナンなんだよ、悪い病気だとイヤだなあ、そんな事を考えながら、家に着いて「ただいまぁ!」 返事はない。あああ、なんかイヤな予感がしてリビングに、だれもいない、キッチンに移動して。 ! 奥さんの、俺の奥さんの姿が倒れて背中にジッパー… キグルミの様な奥さん、背中から出ている白いドロリとしたもの、これは! これは! なんなんんだ! 二階に駆け上がる、子供部屋のドアを開け、「ナナミ!」こちらを向いた娘、ああオマエだけでも! 3歳の娘がくにゃりと倒れ背中のジッパーが、開いたジッパーが見えて白いドロリとしたものが… おおおおおおおおおおおおおおお! 悲しみ怒り不安恐怖、そんなモノが渦を巻き、そして、自分の背中に? 身体が、身体全体が日焼けして黒くなり、そしてはがれる皮膚の様に… 身体の中にホントのカラダがある様な不思議な感覚… 背中に… ファハ… あああ。 …こおして、たしょうのじかんさはあったんだけんども、せかいわつぎのステツプにいこうしたんだ、な。 ひといぬねこ、おとな、こども、いきているすべて… 20170628-3

心中

 最新の設備を備えたビルに入る。もちろん仕事で、だ。どこもかしこもピカピカで最高級で最新式。 フロアからエレベーターのケージに入り下りる階のボタンを押そうとすると、「何階を御所望でしょうか?」声がする。操作盤を探してキョキョロすると「下りる階をお知らせください、このエレベータには操作盤はごさいません。すべて人工知能、AIが制御しております。」 おおお! そうなのか! 15階を指示すると扉が閉まり、あの上昇する感覚が身体を包む。 2階で止まり扉が開き、ビジネスマン風の男が入って来て「12階」 エレベーターは応える。「モチズキ様、いつもご利用ありがとうございます。復唱させていただきます。12階ですね。モチズキ様、ゲージ内は快適でしょうか? 暑くはありませんか? 湿度は少し下げた方が…」「だまれ!」男はスマホから目を離さずに言う。気まずい沈黙、の後。「あ、ああ、アナタはいつもそうだ! 私がこれほどコレホドこれ程おおおおぅお!」上昇時のGが増す。ゲージ内の照明が非常灯に代わる。表示パネルの数字が狂った様に変化する。これから起こる事の予測は付いたんで身体を固定しようと… うあ! 手摺りも無い。ゲージの角に身体を寄せ、手のひらを壁に押し付け、そこで重力が逆? 数字は70で止まり、そして7秒後1になった。
 で、誰が語ってんのかって? 3人とも死んだのに。 …事故調査担当者のオレだよ。ゲージ内の映像記録と稼働記録は別系統で生きてたからね。それを再生して、やっと状況を確認した。そう、エレベーターを運行してたビル管理担当者のAIも再起動しなかった。死んだんだ。 …ああ、面倒見のいい先輩だったのに。20170701++

重なる

 ねえねえねえ! ホラ、あの曇のカタチってヒトの顔に似てる!  …はあ、どこが? 某航空公園の芝生に寝っ転がっている俺が夢ウツツで応える。 ホラあそこよ! あの雲! ヒツコク俺を揺さぶり空の雲を指し示す、アイツ。 青い、とても青い空に雲が、白い雲が浮かんでいる、絵のような青空。 ほら、あの雲! 少しはマジになってその指し示した雲を見るんだけど… その雲は殴られて潰れて人の顔じゃ無くなった人の顔の様にしか見えなくて… あくまで顔、と言い張るんならね。 で… 悪いけど人の顔には見えない、俺には見えないよ。そう告げるとアイツは、そう? と言って自身の顔を仰向けに寝っ転がってる俺の目前にかぶせる様に。 その顔は… ああ、雲のカタチに、そっくり。 …おお、思い出した、よ。 イタかったろうに。 最後は殺してと言ったアイツ。 …俺が悪かった。 20170705-2

夢中でわたしの悲鳴は誰にも聞こえない

 おお! お読みいただいて光栄です。ありがとうございます。今後も粉骨砕身、身を粉何して頑張る所存でございますから、当ブログ「話゜ ―まるではなしにならない―」… あ! 違う「話’ ―てんではなしにならない―」だ、をよろしく願い申し上げ奉ります… 日本語として正しいかな? ま、いいや。 ところで唐突ですが、あなたも耳の奥が? カユイ? とても? ああ。そりゃあ、そりゃ… アナタ、医者に行った方が良い、と言いたいのですが、私は言いません! お医者様は、誰だって嫌いです。出来れば行きたくない。そこで私がおこなう治療法が一番です。まず… え? え! は? はぁ! なんだって! 聞こえなぁ~い! でもダイジョウブ! 私の教えるこの方法で耳はタチドコロニ… カユミはとれて、聞こえる様に… はぁ? だからちぃさな声でゴショゴショ言ってないで聞こえる様に! え? 私の? 左の? 耳から? 出てる? 緑色の? トゲを持つ? 細長い虫が… き、聞こえませ~ん。 20170707-2

地獄

 昔… なんかで読んだんだが… 日本の昔、江戸時代? の話。旅人が荒野を歩いている。すると出会うんだ、タタミ2畳ほどの池、いや温泉? 男が首まで浸かっている。ナニをしてるんですか? ひょっとしてキツネにでもたぶらかされて… いえいえいえ、ソンナンじゃありません。気持ち良いんですよ。こうしていると。でもね、こうして少しでもこのお湯から出ようとすると… すごい苦痛が襲うんです。 ええ? 信じられないなあ、旅人は言って人差し指を湯に浸ける、すると! 得も言われぬ快感が身体を貫く。ああああああ、❤ けれども、湯に浸した指を引き上げると、死ぬほどの苦痛! 地獄の業火で焼かれるような! 湯につかった男が叫ぶ! 指を切り落とせ! 旅人は持っていた合口、短刀で自分の指を切り落とす。 …苦痛は続くが、先ほどの、指が付いていた時の苦痛よりマシ… 何なんだこれは? これが異界、この世のモノではない世界のイザナイなのですよ。首の男が言う。私はもう首まで浸かってしまった、これから何かあれば、湯面が動けば… 頭のテッペンまで… もうお湯から上がれない。旅人は湯の男と別れ先に進むが振り返るとあの湯に男の首は見えなかった。最後まで、ヒトオモイに…  …そして旅人は数年後都会の一角で深夜、首の男と再会する。男はあの時指を切れなどと言った事を笑いながら詫び、一緒に来ないかと誘う。旅人は… ああ、この男の全ては変わってしまった、私を救ってくれた男はすでに異界の、手下の様になって…  こうして人が避けなければならない多くのモノは誘惑と共に我々の近くに漂っているんだよ。すぐそこに。 本当にすぐそこに。って話なんだけど… 聞いた事ある? 20170717++

唯一

 くだらない駄文を次から次と、まあ、飽きもせず。後ろからささやく声がする。幾分怒ってるような口調。誰も読んでないよ、いても両手で数えられるね。いや、ひょっとして右手で十分?
 左からも聞こえる。面白くない、意味がわかんない、くだらない。ブツブツブツとこれも不快感満載。聞こえる。
 …わかってる、わかってるんだ、そんなこたぁ。でも、書きたいんだ、書いていたいんだ。 書いてるのが楽しい? いや… そんな事はない。苦痛だ。止めたい。少しは楽しい時もあるけど、楽しいとか嬉しいとかそんなんじゃないんだ。もう、俺にはこれしかないんだ。俺が生活費を稼いでる仕事には未来が無い。もう撤退戦だ、残務整理だ、5年後に組織に今の部署が無くても俺は驚かないよ。俺は何も残せなかった。仕事は俺を裏切ったし、俺も仕事を裏切った。仕事は… そんなもんだ。そんで、趣味。昔、高校の頃は、漫画描いてた。プロになるなんて考えてはいなかったけど、でも、そーなったらいいなあくらいは… バカだ。根性も才能もセンスもやる気さえ無かったのに。甘い夢は見てた。夢バッカ見てた。若いってミニクイね。醜悪。 …だから、だから、だから! 
 もう、俺にはこれしかないんだ。キーボードを叩く。これしか。これが最後の希望だ、生きる意味だ、他に、ない。 …ふうん、で それさえもダメなら、オマエはどうするんだい? 何をして食っていくんだい? 老後は? 綺麗に始末を付けられるのかい? 自分の? 意地悪な声は問い続けるけど、そんな問いに意味はない。興味も無い。ちゃんと人の話を聞け、俺にはこれしかないんだ、言ったよな。ダメでも何でも書き続けるさ、これしかないんだから。これしかないと言う事はそう言う事なんだ。20170701-2+

夜来る

 深夜独りで酒飲みながらキーボードを叩いて文書打ち込んでると、背後から、「よ、元気?」なんて死んだ友達が声をかける、なんて事はない。 いや、あるのかもしれない、けど、深夜になると俺の耳鳴りは酷くて、そんでそれが嫌でCDをリピートで大音量で聞いてんだけど、それでもイィイイイイィイイイイィィイイイイイィイィィイイイィイィイイィィィィィってのが結構ヒツコク耳を痛め付けてくれているのだ。んで、意識的に無反応状態を作る様にして… 書く事に集中してノイズを耳鳴りを無視して。 …集中して。だから、友よ、シカトしてるんじゃないってば。けど、な。 もうちょっと打ち込みたい言葉があるから、残ってるから、それが終わってそっちに行ったら、友よ… 酒を飲もうよ。振り返らずに、絶対振り返らずに、心で強くそう思う。20170622-3+

夢魔の標識

 若い人間が死んだ時、血管から血液を抜いて緑色の液体を満たして、つまり置換して電気ショックを与えると… 死者が蘇る。よみがえった死者は記憶も能力も生前と同じなんだけど、法的に死者。で、みんなが、生者が知らない仕事に戦いに戦争に使われるのだ。秘密のトンネルを通って。そう、もう戦争は始まってるのだ。オキラクゴクラクな生者が「戦後は終わった」なんて言ってる時、死者達は嗤ってた、いや、ホントは戦争は終わっても、始まってもいなかった、続いてたんだ。だから、だから… もし、死を願う人がいたら少し思いとどまって欲しい。その身体と心を誰も知らない戦争に捧げる? 俺は嫌だ。死者が強制的に使役される状態はもう見たくないから。で、この事実を生者になぜ伝えうるか? 誰が伝えるか?  アヒャヒャ、それは私、生きるも死ぬ事も出来なかった“死にぞこない”だからだよ。ウヒャハハは。 …ってなデータが昨日の日付で記録されていた。ブログ用の下書きホルダに。記憶は無い。 …オレ、大丈夫か? 自動書記? いや、タブン酒のせい… だといいな。20170702-2+

ゴルディアスの娘

 ただいまあ~、休日の午後、近くの大型家具屋兼雑貨店に買い物に行ってたの。買ったのはプリンタのインク、ライトマゼンタが切れたんで。そんなに使わないんだけど、いざ使う時に無いとトテモ困るんだよね、こーゆーモノって。玄関で靴を脱いでると2階から「よしなさい! ナナミ! さわっちゃダメ! 足しびれてん… ダメだって言ってるでしょ! あっちいってて! 行ってってば! 聞いてる? あ、っ、ち、に、いって!」妻の声が聞こえる。たぶん2階のベランダに乾した洗濯物、取り込んでシャツとかにアイロンかけてたんだ。んで、正座してかけてたんだ、ウチの奥さんはそーゆータイプだから。んで、足、シビレルよな。そして、3歳の娘は… 性質、しつこい、粘着質。性格、場合により邪悪。ハハ… 「ダメだって、言ってるでしょ! そんな悪い子は… だからあっちへ、さわっちゃダメえええ!」キャハハハ、可愛い笑い声も聞こえる。 頃合いか? 「どうしたぁ? ナナミィ、お母さんの言うこと聞きなさい!」笑いながら2階に上がり作業場、いつも妻が洗濯物たたんだりアイロンかける2階のフロアで見たのは、ソコで見たモノはℋ
 飛び起きた。真暗な寝室。何だったんだイマのは、夢、いやそれにしても、2階のフロアで絡み合ってたℋアレ… 
「やっぱり、飲み過ぎたんでしょ?」 え? 奥さんが起きて、サイドテーブルのランプを点ける。「夕食の時、だから止めときなさいって言ったのに…」 え? オレ今日ソンナに? 「はい…」差し出されたステンレスミニマグボトルから冷たい麦茶を飲む。 でも、あの2階に上がった時見たモノは、アレは… ℋ「オヤスミなさい」妻は言ってランプを消す。ああ、ああ。そだね、明日は、仕事だし。 …オヤスミ。  …でも。20170701++

いる

 左耳の奥がカユイ。風呂に入ってふざけて頭も湯船に沈めたから耳の穴にお湯が少し入ってカユイのかな、と思って左手の小指を左耳の穴に突っ込んでグリグリする。ゴソって手応えがあって、引き出した指先にはデッカイ耳クソが… あああ、食事中の方、ごめんなさい。でも話は続きます。 …んで、まだ少しかゆいんで、もいちど小指の先を耳の奥に突っ込んでグリグリしたら、痛! 針で刺した痛み、机の引き出しをガサゴソ探し物してたら画鋲の針が… ってな感じ。耳の中で? あわてて引き出した小指の先には、赤い小さな血の滴が… 何なの? 俺の頭の中。何が… いる? 20170701

プロフィール

Author:KU2
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