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 おやすみなさい、明日になれば… 「アシタになれば?」眠りへの誘いに抗って子供が訊く。 明日になれば、全てが元通り、天気予報は晴れだったからオヒサマが昇り、小鳥が歌い… 「コトリ?」でも子供は小鳥について知る事はなく夢の世界へ。明日になれば… 母親は繰り返す。明日になればすべてが終わる。地球上の植物、地上にあるモノ、海中にあるモノ、その全ての死滅が確認されたのは、つい最近。計算上、大気中に残された酸素は今夜無くなる。この異変と関係があるのか、今夜は風が強い。轟々と吹く風の音に交じって、あれは?  …木の葉ずれの音? …そんなはずはない、この家の庭のハナミズキ、街の街路樹、その全てはすでに植物の骸。明日はこない、この子にも、私にも。この星に生きる全ての… 母親は子供部屋の灯りを消し、自身の寝室へ。ベッドサイドのテーブルには、先ほど子供に飲ませた同じ薬が。せめて最後の時には子供のそばで、とも考えたが、いつもと違う事にあの子は敏感。同じ様に、昨日と一昨日とその前と同じ様に最期を迎える、私がそう決めた。薬を飲み、私も床に就く。明日は、来ない。20180127+
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つう2018

 傷付いた鶴を助けた男の家に美しい娘が訪れ、ふたりは夫婦になった。貧しいながらも幸せな二人ではあったが、やはり貧しさは幸せを削いでゆく。ある日、女房が言う。私が機を織りましょう、ただし決してその時の姿を見ないで下さい。女房は部屋に籠り、3日後、窶れて出てきた女房は美しい反物を持っていた。その反物は高く売れ、夫婦は幸せになった、しばらくの間は。 ある日、女房が言う。もう一度機を織りましょう、決してその姿を見ないでください。女房は部屋に籠った。5日後、さらに窶れて女房は出てきた、さらに美しい反物を持って。女房は思う。ああ、今までこんな思いを持った事はなかった。生きて愛し子を成し逝く、それだけでよかった。それ以外のモノなどなかった。 …けれど、この喜びは何? 私が産み出した、これ。自分の子供の様に愛おしく誇らしく素晴らしく、でも次にはもっと、もっと、もっと愛おしく誇らしく素晴らしいものが創り出せるのではないかしら? 最初は恩返しの為だった。たとえ命を削っても、あの人の、 …いいえ二人の幸せの為ならと思っていた。でも、今は、見てみたい。私がどれだけのものを創れるのか、どれだけ美しいものを、この手で、この私が! こんな感情を、創造する苦悩、喜び、快感、この様な思いが溢れて来るなんて… 反物は最初のものより高く売れ、そして夫婦は幸せになった。 けれど、何かが違ってきた。女房はもう次に織る反物の事しか頭に無かった。そうだ、今度は緋を散らそう、雪の様に白くそして輝く中に。創ろう、限り無く美しいものを… 20180128+

白い秋、黒い冬

 昔、煙草を吸ってた。当時は喫茶店で頼まなくても普通に灰皿が出てくる時代だった。んで、そんな時代だったから歩きながら吸ってても、喫い終わったらそこら辺にポイして靴でグシグシ… カッコ悪く言い訳するけど、そーゆー時代だったんだってば! それがハードボイルド! なんて時代だったんだってば! それがカッコイイと思っていた、のも …事実。 けどある日友人が「公害企業をどう思う?」そりゃ許せないね、と即答すると「でも、君が道に吸殻捨ててるのと一緒じゃない?」と言ったんで、そりゃそうだ、と思ってその時すぐアッシュケースを買った。それから1度も煙草を止めるまで、吸殻を投げ捨てた事はない。 で、何が言いたいのかって言うと… こーゆー風に付き合ってると自然に生き方のレベルが上がる貴重な友人からも、今は年賀状も来なくなって、煙草も喫わなくなって、歳を取るって事は… この世とのカカワリが少しずつ無くなっていく、テレビの洗剤のCMで繊維からツルンと離れていく油汚れの様な最後… 人は… 何言いたいかわかる?  …俺、わかんない。 …わからないんだ、いや、ほんとマジで。20180114-2

某公共放送団体

 某公共放送団体の番組を見ていたら、なんかのイベントの申し込みのお知らせで「受信料をお支払いいただいている方に限ります」と出てた。 …ふ~ん、そーなんだ、貧しくて受信料払えない人はオヨビじゃない、んだ。ビンボー人は家でおとなしくしてろよ、交通費だってないんだろ、テレビをタダで見せてやってんだ、浮かれて街に出て来るんじゃねーよ! ああ! なんて仕打ち! 差別じゃないのか、これ! 許せないっ! と思ってネットで調べたのさ。そしたら、そこには「受信料が免除されてる方も含みます」と書かれていた。あ~、そーなんだ、某公共放送団体。テレビの放送ではそこまで書かれていなかったように思うんだけど… ま、いいや。でも、優しいね~ 某公共放送団体。なら、払ってない人もOK、って …だめ? …やっぱ、だめか。 20180120-2

 昔、子供の頃、小学3~4年生の頃だったかな? 1人で釣りに行って水門の魚道近くが俺のポイントなんだけど、そこで釣り糸を垂らしてたのさ。コンクリートの縁に腰かけて、いい天気だったけど辺りにダレモいなかった、な。 夏休み、のハズもない。平日、学校をサボって行ったんだっけか? 忘れた。 …もう時効だよね? で、釣果は… ハハ、フナが1匹、そろそろお昼? おなかすいてきたなあ、なんて時に、ポン、軽く背中を叩かれた。トモダチか? けど、釣りしてる時の俺はイツモ反応が鈍い、スリープモードっていうのか、その時も、ポンと背中を叩いた手がいつまでもいつまでもそこにあって、そこがジワリと濡れて来てから、変だ、と思ってようやく振り返った。 …カエルがいた。 ただし、デカい。3歳児がカエルの、リアルなカエルのキグルミを着てる、そんな感じ? でもキグルミじゃない、肌、というか表面のヌメヌメ感、ビクビク動いているアゴの下? 口の下? でその右前足が俺の背中に… ひゃ! 息を吸い込んだんだか、吐き出したんだか、覚えてないけど、とにかくそんな声にもならない音を出して、俺は… その辺り記憶がトンでる。気が付いたら走ってた。走ってる途中で、釣竿はじめ釣りの道具一式そのままだ、とか、あ! 俺自転車で来てたんだ、とか思い出したけど足が止まらなかった。で、走って家に帰って… 家で、玄関入って、肩で息して… お母さ― 大声で呼ぼうとしても呼吸が苦しくて、声が出なくて、そんな時、廊下の奥からペタリ… ペタリ… ペタリ… ペタリ… ペタリ… 音がする。 …イヤな感じ。スリッパの音じゃない。お母さんのスリッパの音じゃないっ! アレは、きっと、ぬれたオオキナ素足の音… 俺は玄関を飛び出して、それから
 だから話を聞けよ! 俺の話! 夕暮れの水門の魚道近く。退路を断たれ、怯えたカップルを前に俺は声を張り上げるが、2人は俺を見て「カ、カエル…」と  20180111+

怪盗

 昔の車にはドライブレコーダーなんて付いてなかったんだよ。えええ! 信じられなぁい! なんて会話を母さんとじいちゃんはしていたんだって… ホント信じられないけど、今ばあちゃんになってしまった母と私の息子は同じ様な会話をしている。「昔はライフレコーダーなんてなかったのよ」じゃ、犯罪とか事件とかどーやって捜査してたの? 息子が不思議そうに聞く。もちろんその息子にも話してる母にも私にも、この国にいる人間だけでなくペットや家畜にさえライフレコーダーは付いている、と言うか埋め込まれている。これによりこの国の生き物はその全生涯の経験、GPS情報から視覚聴覚情報などその全てが収集される。「そうねぇ、道路や、建物に付いてた防犯カメラの映像とか、犯人の指紋とか遺留品? そーゆーモノを… 」ゲゲ! めんどくさぁ~! 息子は大げさに驚く。でも、その通り、今は生体に埋め込まれたライフレコーダーとそのデータを収集するジグラッドシステムにより全ての犯罪どんな事件にもトラブルにも「未解決」は無くなっただけでなく、「即解決」となった。まあ、一応それなりに平和にはなったのだ。もちろん犯罪が無くなった訳ではない、念のため。
 そんなある休日の午後、緊急放送のため室内にアラートが響き、自動的にビジョンモニターが起動し緊急ニュースが始まる。「お伝えします。本日午前10時20分、都内某古書店内で商品が盗まれた事が判明しました。被害はジャンプコミックス『こちら葛飾区亀有公園前派出所 110巻』1冊です。犯罪認知時刻から5時間が経過した現在も犯人は特定されておりません。警視庁は事案の重大性とこれまでの捜査の経緯を鑑み、都内全域に非常事態宣言を… 」 ああ、そういえば昔、私のおじいちゃんから聞いた事がある、こーゆー犯罪、確か、 …万引き? 20180120-2

ブロードキャストストーム

 森の中で男が野営している。焚き火の向こうに、もう一人の男が現れる。最初の男は「誰だ、コイツは?」と考える。もう一人の男が「オマエは今、誰だ、コイツは? と考えたな」と言おうとして言い始めると… 最初の男も「オマエは今、オマエは今、誰だ、コイツは? と考えたな、と考えたな」と言おうとして言い始… 後の男、「オマエは今、オマエは今、オマエは今、誰だ、コイツは? と考えたな、と考えたな、と考えたな」と言おうとし… 心を読む妖怪サトリがもう一匹のサトリと出会ってしまうと… そんなコト夢物語? そうか? 時々LANコードをムチャクチャに繋ぐ人がいるのに? 20180114-2

故郷は遠く

 またまたまたこの国に駐留する軍人さんのヘリコプターが墜落… 不時着? した。近隣の住民は不安だ、危ない、怖い! って怒ってる… でも、考えてみると、本国から遠く離れたアジアの片隅で、安全性にとても不安のある飛行装置に乗り込まなくてはならない軍人さんって、とても可哀想だと思う。落ちる時は下にいる人を巻き込むかもしれないけど、乗ってる人はもっと高い確率で死ぬ、よね? その軍人さんにだって親もいれば子供もいる? 親が愛する子供、子供が尊敬する親、かもしれない。「パパは世界の平和の為に遠い所で戦ってるんだ!」 あああ、可哀想だ… なんて少ぅしイヤミで思ってたんだけど… なんか、ダンダン、本気で可哀想になってきた… そんな危ないモノに乗ってるって遠く離れた故郷の親御さんや家族が知ったら… そんな離れた所で、現地の人にも悪く言われて感謝もされないで… 死ぬかもしれないなんて… あああ、なんか、涙出てきた。どこでこんなになっちゃったんだ? どこから狂っちゃったんだろう、誰が悪いんだ? いや、マジで。20180108-2

猫≠

 私達は“ネコ”という生物をどれだけ知っていたのだろうか? “ネコ” そう、ニャ~ニャ~鳴いて指の先とマタタビが好きでコタツで丸くなるあの生物。ある日全世界の“ネコ”が一斉に動きが鈍くなった。そして3時間かけてだんだんと丸まり、そう寒い時に出来るだけ表面積を減らすあのポーズで目をつぶり動かなくなった。全身を覆う毛皮も硬くなり、みんな木彫りのネコの様。それはどこか、昆虫の蛹の状態に似ていた、今思えば。WHO(世界保健機関)もWWF(世界自然保護基金)と協力し調査に乗り出し、最新の機器を使い検査観察分析を行う。しかし1週間後、原因は不明わからないと発表した。で、10日後、現代科学の粋を集めた機器で検査用試験片さえ切り取れなかった“ネコダマ” ―と、その時、動かなくなったネコをそう呼んでいた― の背中がメリメリメリッと割れ、中から… ネコが出てきた、蛹化する前とおんなじネコが。ガクッ! 世界はズッコケた。再度、WHOとWWFが協力し調査に乗り出し、最新の機器を使い検査観察分析を行なった。そして1週間後、ネコは以前のネコと遺伝子的にも能力的にもその他の事でも何も変わらない、と発表した。ただ、それからしばらくして、世界中のネコを飼っているみんなが蛹から出てきた“ウチのネコちゃん”を抱き上げて「あら! ウチの○○ちゃん、こんなに…」 そうなのだ、明らかに蛹から出てきたネコは以前のネコとは違った。けど、どこがどう違うかを誰も指摘出来なかったのだ。 …ナンなんだ? 20180115+

在ってはならない

 有名な心霊スポットで撮った写真。俺と、俺の悪友と、悪友の嫁さんと、悪友の友人と、悪友の友人の知人と、その彼女の合計6人。写真にはそのトンネル前の道で俺以外の5人がおバカなポーズでふざけていて、その後ろにトンネルの暗闇が写ってる、ハズだった。けど5人とトンネルの間には、デカい丸い耳を持った、世界一有名なネズミの、あの夢と魔法の王国で活躍してるはずのアノ、“中の人”など存在しないと言われている、あのネズミ様が邪悪な表情で血走った目を吊り上げ、口は耳まで裂け、両手を広げまるでドラキュラのようなポーズで… 
 「いなかった、よな… 」悪友が言う。ああ、オレは答える。だがしかし… こうしてスマホで撮った写真に… 「これ、ヤバいよ!」 もちろん俺もそう思う。で、問題はこれをどうするかなんだ! お祓い、除霊、お浄め? 悪友はツブヤク。「ああ… やっぱこれ、消去しないと… 」蒼い顔で悪友は続ける。「ほら、やっぱ… 厳しいから。俺、聞いた事ある、どっかの学校で、勝手に描いて消させられたの。著作権っての…」 え? そっち? そーゆー問題? 個人で楽しむ分にはいいんじゃないの? ああ、…楽しんでる訳じゃ、ないけど。20180115-2

少子化社会における団体競技に関する考察

 野球はナインって言うくらいだから9人でするし、サッカーはイレブン、11人。あ! ゲームするんなら野球は9×2チームに審判は4人? 6人? まあ遊びなら少しはテキトーでOKだよね。で22人。サッカーは22人+4人? まあこれも審判はイイカゲン、多少減らしても何とかなるかもしれない、として、それで良いとしても26人。う~ん、少子化になったら出来るのかなあ? 大会とか成り立つんだろうか? サッカーは廃れてフットサルが注目を浴びる事になる? じゃあ、野球、甲子園は? 女子の参加も認める? いや、それはない、と思う、この国では。あるとしたら… 三角ベース? アレ何人でやるんだっけ? しかし、甲子園で三角ベース、か。 …透明ランナーとかぶっつけアウトのルール、どうなるんだろう? 20180120+

宇宙戦争

 火星から採集された土には仮死状態の生命が存在した。国際宇宙ステーションのラボではこの生命体の蘇生と研究が始まった。ケルビムと名付けられた地球外生命体は、想定外の環境適応力を見せ、成長し、隔離キャビネットを脱出する。生存に貪欲なケルビムはステーション乗員達を捕食し成長を続け、知的にも進化し地球降下を企てる。それを知った最後の乗員は自らを餌にケルビムを脱出ポッドに誘い込み宇宙に飛ばす計画を実行するが、想像を超えたケルビムの能力によりポッドは地球に降下してしまう。アジア極東の大都市SIBUYAに降りたポッドは市民によりハッチを開けられてしまう。今こそ地球上で自由となったケルビムは… 蔓延していたインフルエンザウイルスの餌食となって絶命してしまう。永遠に近い時間火星を支配した生物は、最強ではあったが、また脆い生き物でもあったのだ。生き抜くためには生物多様性の中での切磋琢磨というかサバイバルが必要だったのだ。ああ、1938年の二の舞? 20180112-2

受容の差異

 たとえば… 君と僕がリンゴを見ている。「ああ、真っ赤なリンゴが美味しそう」って君が言って、僕が「ああ、その通りだね」うなずく。 でも、2人はホントに理解し合っているのか? 感動を共有しているのか? ホントは、僕が見ているリンゴの「赤」って色。君にとっては、僕の見る色でいうトコロの「青」に見えてるのかもしれない。そしてその「青」を美味しいと感じてる。 でも、それをアカと表現してるから、君と僕の話は通じる。君と僕の見ている色はアカとアオで違うかもしれないけど、その色を2人とも「赤」と表現してるんだから、問題は生じない。ああ、読んでるアナタ、理解してる? ついてきてくれている? だから、それぞれ見てる色が異なってもそれを同一の色の名前で呼ぶなら違いは表面化しない… のよ。それは理解してると言えるのか? そして、食べたら美味しそう、って事も、「オイシイ」って事だって、甘いのが美味しい人と、酸っぱいのが美味しい人とがいたら… ほんとうに人は理解し合えてるんだろうか? 理解してるんだろうか? 他者を。 …だから、って事はないけど、僕は公園のベンチに座ってじっとして始終ニコニコしてる人に、とても恐怖を覚える。20160804-2+

MUKASIBANASI

 森の中で野営してると、焚き火の向こうに男がいるのに気付いた。一つ目の男、サトリだな。男は言う「オマエは今、サトリだな、と考えたな」 あ! ヤバ、やっぱりサトリだ、こっちの思考を読んでくる。「オマエは今、あ! ヤバ、やっぱりサトリだ、こっちの思考を読んでくる、と考えたな」 困ったな、あ! そうだ! Good evening. Mr.SATORI. Nice to meet you.  It is very beautiful tonight of the month. 「オマエは今、困ったな、あ! そうだ! ぐっいぶに… みすたサトリないすつみ… なななななんて考えた?」 Oh!   Do not worry! Let's sing together. ♪Under the spreading chestnut tree There we sit both you and me Oh how happy we will be Under the spreading chestnut tree. 「 …オマエは、オマエは、オマエはぁ… だいっきらいだあああああああ!」 サトリはいなくなった。20180114+

人形の家

 年が明けてまた一人、脱落した。診断書が出て、無制限の有給医療休暇。ああ、調子悪そうだったからな、でも! じゃ、今出勤してる奴等が何の問題もないか、 …とは思ってはいない、上層部だって。でも大丈夫! すぐシフトを組み直し業務に差し障り無い様に対応してくれる。これで13人いる職員のうち6人がアウト、3人がレッドゾーン、不定期通院中。 それでよく回ってんな、ってそれは“サポート”が入ってるから。“サポート”、人工知能を備えた汎用職業支援人型装置、まあ、昔に言う“ロボット”だ。それが導入されてだいぶ楽になった。最初の“業務説明”には時間がかかったけど、2台目以降は機械同士で情報が流れる、追加の説明も驚くほど呑み込みが早い。適応力がハンパじゃない。現在6人分の仕事を4台で回している。社員数より2台少なくて済んでいるのは、有能で無駄のない動きもさることながら、各個体がシンクロしてるのだ。メインのサーバと繋がってるだけでなく、各個体同士も繋がっている。「独立連動システム」とか言ったっけ? だから「ゴメンね、後ろ通るよ、どいて」なんて声かけどころか、会議ミーティングも不要、みんなそれぞれの仕事をしていても、仕事の全体も掌握し、事業の進捗状況に応じた細かな業務進行の修正も可能。 なんだか人間いらないよなあ。 …なんてのんびりした事をボヤいていたら、ビンゴ! 通院中の3人と“カクレ”  ―無申請の通院療養者― だった1人も無制限の有給医療休暇となり、この課は完全“サポート”体制となった。業務引継作業が大変、かと思っていたら、“サポート”があと2台入って半日で済んだ。課員の持ってた大量の書類は“サポート”の課長が40分で目を通し、そのほとんどはすでにデータにアップされてると告げて即シュレッダー行きとなった。課長は無表情だったけど、右手はずっと握りしめたままだった。 …で、俺達人間はクビ、かというとそんな事はない。新しい部署に異動となった。そこには別の“サポート”がいて「お疲れ様でした。皆さんのこれまでのお仕事についてお伺いしたいのですが…」 そんで75過ぎた俺達ジイサンバアサンの社員は“サポート”相手に昔の話をする。それが俺達の新しい仕事。 …わかってる“サポート”が欲しいのは人間に関する情報なんだ。どんな些細な事でも人間に関する情報を集め蓄え分析し業務に生かす。業務に生かすと言っても、うちの会社が関わってる他の多くの会社だってすでに“サポート”が運営している。この国にもう人間は少なく、戦略的な意味で人間の情報を集める必要はもうあまりない。それは“サポート”システムの深層に埋め込まれた命令なのだ。最後まで人間を「不要」と判断させないための… だから「私がまだ都内の営業所にいた時の事なんだけどね、やって来た中年男性の御客様が…」などと“サポート”に話すのだ。 …意外だったけど、これが、けっこう快感。20151230-3+

成人式

 今年の成人式の様子をテレビで見る。 …見なきゃよかった。 …なんで? って言われても、嘘は吐きたくないし、誰かを傷付けたくもない。ああ、でも言いたい、言ってしまう。俺も意志が弱い。 …それはね、女性が七五三的なのはまだいい、男性が、ホストやヤンキーみたいなのだって、舞台衣装みたいな着物だって勝手にしてくれ、だ。やりたければやればいいのだ、それこそ大人の責任と矜持を持って。 けど、インタビューに答えて「お母さんありがとう❤」「おばあちゃん感謝してます!」などなど… お母さん、お父さん、おばあちゃん、おじいちゃん! なんで母、父、祖母、祖父じゃないんだ? なぜか聞いてるコッチが、あああ! 赤面! と思ってしまう。 …なんだろう? 今はもうそれでいいのか? ぜんぜんダイジョウブ! なのか? なんだかなあ、って事は、俺もジジイになった、って事なんだ、きっと。けど、とても変だと思う心を否定できない。20180111-2

サイレント・マイノリティ

 嫌なモノは見なければいい、そう思っていた。
 テレビの不快なギャグも、ネットの極端な発言も、政治家のお為ごかしの主張も、言いたい人間の権利だって、それを聞きたい人だって、あったりいたりするよね。
 それで食べてる人だっているよね。私が不快だからって、そんな人達の「飯の種」や「生きる権利」を否定する権利は私にないよね、と思ってた。
 だからといって見たくないモノは見たくない。私の生活からは、そーゆーのはすべて排除した。見たくもない、聞きたくもないモノを発信する権利もあるけど、見たり聞いたりしなけりゃならない義務はない、もんね。私の楽しく豊かな美しい静かな知的生活を誰にも邪魔させない、もんね。
 そんなある日曜日、私のアパートにやって来たオジサンオバサンの集団が「あんた! なんで町内集団防災訓練に出ない! もう6回、3ヶ月も出てない! なんで町内会で決まった事を守らん! 町民の義務をオロソカにするのかぁ!」 え? えええ!
 怖いおっさんは怒鳴り続ける、「このアパートのこの部屋にも、チラシも町内広報も入れてる! 町内会議録もネットで公開してる! 半年前の大改革、知らなかったとは言わせんぞ!」 そうだそうだ! 後ろにいるその他大勢のジジババも罵声を上げる。 いや、私、知りませんでした…
 チッ! 舌打ちしたおっさんはA4のカミッペラを見せ「今回強制参加の許可が市から降りた! 本日この時間より町内集団防災訓練への参加を命じる!」 おおおお! 歓声がバックコーラスの様に…
 おっさん達は土足で私の部屋に上がり「さて、今回の防災訓練は仮想敵国のスパイが町内に潜入したとの情報を得てのスパイ狩り、だ。 この町内会は意識が高いからな、本気で逃げなきゃ、大ケガするぞ」 私が? スパイ役? で、何処に逃げる… そーいやコイツラなんでバットや木刀を… 20180112+

イマワノキワ

 小説を読んでいて、最後の1行で「!」ってなどんでん返しと言うか、足元をすくわれて自分がひっくり返ってんのに世界がひっくり返ってる様な、あの特異な感覚を味わう事がある。小説なら、おおおおおおおお! ってまた最初からパラパラ読み返し、ああ! ここに伏線が! うう! ここで気付けよ、俺のバカ! なんて楽しいんだけどね。 …で、これは聞いた話。 親しい人のイマワノキワ、今際の際、臨終の時、死に際に言われた言葉が… ああ、そんな風に思ってたんだ、見ていたんだ、感じてたんだ、私を。って立ち直れないほどショックを受けて、でももう反論も釈明も言訳も出来なくて、周りの人も本心じゃないよ、こーゆー時だから、なんて慰めてくれるけど、私はもう自身も世界もひっくり返って茫然自失 …って、聞いた事がある。ナニを言われたか知らない、知りたくもない。だからここには書けないけど、ああ、人生と小説はゼンゼン違うんだなあ、と思った。 …俺も気を付けなければ。 …どっちで? …どっちだろう? 20180106

表裏の箱

 行ってきます、と声に出して言うけど独り住まい。だからもちろん玄関の扉は自分で施錠して出勤する。けど、何処かに不安の種が芽を出した? しばらく歩いて家を振り返る。小さいけれど立派な一戸建て。二階の窓に手を振る女性! !? 何ナンなんだ、何なんだ? 繰り返す、オレ独身独り身、今俺の城の中には誰もいない、ハズ! 駆けもどり鍵を開け二階へ駆け登る、二階の、あそこは寝室、の扉を開け、ベッドの上の脱ぎっぱなしのパジャマにため息をつき、カーテンを開いた窓からあの人に手を振る。思いが通じたのかあの人は振り返り… え? こちら、家に戻って来る。駆けて来る。ナニカ忘れ物でも? 私も急いで階下の玄関へ向かう。玄関の扉を開け、外に出て再度施錠し、駅へと急ぐ。25分の急行に乗れなきゃアウト遅刻だ! もう振り向く事はしない。2階には寝室には誰もいない、いなかった。俺がこの眼で確認したんだ、確かに、誰もいない。いないんだ! …よね? 20180110-2

高校部室奇譚

「…ってんで、先輩の留年が決まったんだってさ」ドッと笑いが起きて、エ~、だのシンジラレナァ~イだのが乱れ飛ぶ。スナック菓子の袋を開ける音やペットボトルを置く音もしている。 パーティー気分か! ここは学校だぞ! マッタク。 「いつまでふざけてんだ! 部活の時間はとっくに終わって下校時刻は… 」 その部室のドアを乱暴に開け怒鳴った声はしぼんでしまった。中は暗く無人で、窓からの残照でかろうじて机と椅子が積み重ねられているのが見える。倉庫代わりの部室? 私は見ている、ドアを開ける前まで、ドアの下から漏れる照明の光が… 人の声が… その時気が付く。後ろに誰かいる。クククと嗤う声も聞こえる。 …いや、声、じゃない。ナニカの唸り声? ああアあぁああアぁアあああアああぁアあああ゛! 
「聞こえました? 今のナンだろ?」走り出す先輩。 あアあぁああアぁアあぁあアァあぁアああ゛! 私の腕、摑まれて「急いで! アカズの部室の声は聞いちゃダメ!」 え? あれ? 先輩両手で自分の耳塞いでる? じゃ、この手… 20171030-2+

置換

 生体臓器移植の技術が進んでそれにクローン技術がプラスされたんで、特権階級の人達は密かに自身より10歳若いクローン人間を作り、将来の不安に備えた。つまり四苦、生・老・病・死の4つの苦のうち、3つの苦を無くした。で、某大会社の社長さんもそんな安心を買って安心してた。胃や肺や肝臓が悪くなってもすぐ新しいのに取り換えられる、自分のクローンだから拒絶反応はない、取られちゃった相手、ドナーがドナーろうと知ったこっちゃないわい、ガハハハハ! と笑っていた。そんな社長さんだからある年の検診で医者が「お話したい事があります。ご家族の方と御一緒に」 と言われたんだけど、ホラ来た! でも大丈夫! と思ってたんだ。で、その日約束の場所に行くと会社の役員もそろってる。なんじゃこれは? 社長さんは不快に思った。健康問題はあまり会社に知られたくない。しかし、高額なこの特殊延命システムは会社の予算で… 不快は不安となっていく。そこで医者から受けた宣告は余命1年、生体臓器移植を行ったとしてもその後5年での再発率が90%、よって今回超特殊延命措置が取られる、という話。超特殊延命措置? それは、対象者の全置換、つまりはもう話は社長個人の話ではなく会社の存続に係わる人事の話に… そー言えばあの役員の末席にいるのは10年前の俺、より精悍な顔だちの… ゲ! 待て! じゃ俺は? 「このようなケースの場合、ドナーとレシピエントの立場を入れ替える、事例もあるのですが、あと1年の寿命では… やはり、ここは『破棄』という事で…」医者が言う言葉なんざ聞いちゃいなかった。俺の横に座る一回り下の妻が、あの10年前の俺と見つめ合ってる事が、俺をカッとさせ、席を蹴立て その時、首筋にチクリと… そして意識が 20180108

人間がいない

 西暦2122年。この国では少子高齢化が進み、国家を維持するための人材が慢性的に不足していた。これに対するため、曽井連都社では人造人間の開発に着手、5年という短期間で人造人間サイレントの大量生産に成功した。サイレントは他社の追随を許さぬ優秀な製品で、瞬く間に社会に浸透し、この国の維持になくてはならない存在となっていった。
 時に2130年、曽井連都社の幹部、斉門が死亡する。事故か自殺か殺人か? 捜査を開始した警視庁、捜査一課の孫刑事は殺人の確証を握るが、それは曽井連都社の最高機密と、国家的陰謀に関わる事でもあり、孫刑事は様々な捜査妨害を受ける。そんな中、先輩の剃刑事の死と引き換えに人造人間サイレント製法の極秘情報を入手する。しかしその直後、暗殺者達の襲撃を受け、辛くも彼等を倒すが自身も深手を負ってしまう。病院に運ばれる救急車の中で孫刑事は叫ぶ、「サイレントは人間だ! 医療機関で大量に集められた精子と卵子から作られる人間なんだ! 早く何とかしないと、今に原料調達の為に、人間を飼うようになる! サイレントは人間だ!」 人影の絶えた街を走る救急車が遠ざかってゆく。
 え? ああ、「ブレードランナー2049」は見てない。見たのは「ソイレントグリーン」… 20180106-2

方舟はどこ?

 朝目が覚めたら、やけに外が静かだ。着替えて外を見る、新聞を取るために外… 雪、だ。予報ではなかった。しんしんと降り続く。60センチ? どうりで寒い。 …新聞も無かった。雪は予報に無い割に多い。今日は早く行かないと、職場の雪掻きも仕事の内、しかしこの量は、かなり大変、な予感。
 昼食の時間、交代で取る遅番の昼食時間を過ぎても雪は止まない。御客様も少ない。さっき掻いた雪はもう朝見た雪の深さと同じ位に積もって… 異常だ、職場、事務室で付けっぱなしのテレビが家屋倒壊のニュースを流す。げ! この近く、俺の家だって心配だ、関東圏内だ、積雪対策などしてない。夕方になっても雪は止まず累積降雪量は2メートルを超えた。
 午後3時で職場は臨時休業。いつもなら決断の遅い上層部も今回は速い。しかし交通機関はすでに完全に運休常態、帰れぬ者は職場待機、俺は徒歩での帰宅を決行、まあ、普通なら40分で歩いて帰れる距離なんだが… その距離を1時間半かかってやっと帰り付く。すぐにマイホームの屋根の雪下ろし。2階のベランダの雪を搔き、そこに三脚を立て屋根に登る。すでに俺の身長より高くなりつつある雪を落とす。建材が軋む。でも、しかし… この雪は、異常だ。何か悪い予感がする。
 翌朝。まだ雪は降っている。4メートル、いやそれ以上。いやな音、雪の荷重による家屋倒壊の音が、聞こえてくる。 …ノアは箱舟を作って災厄を逃れた。しかし今回は? くだらぬ縁起でもない思いが頭を過ぎる。 若くして死んだ俺の親父は癌が手の施しようがないとわかるとキリスト教に入信した。そこで幼い俺も知った、ノアの箱舟。しかし、神様は昔の悪しき人間にも、親父にも情は掛けなかった。昔の悪しき人間も俺の親父も、今はいない。 今回も? … 雪は降り続いている。 …ああ、クソッタレ! と悪態をつくが、雪景色は美しい。20180103++

カウントダウン

 そーなんですよ。2018/01/01「御挨拶2018」に「滅び」に興味がある、と書いたのは「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」(河合雅司著 講談社現代新書)を読んだからです。 でもね、普段私は、未来はこーなる! って言われても「ふ~ん、そーなの」と淡泊に済ませちゃう性格です。だから「未来予測 今年はこーなる!」なんて本は読みません。でもこの本は読んだ。それはこの本で扱われてる情報、おもに人口って数字が予言とか予測とかと少し違う、と思ったから。今、10人の5歳児が存在すれば、15年後には新成人は10人を超えない。ね、これってどっちかって言うと、「当たり前」の事で、予言でも予測でもないよね。新成人10人じゃないのは… 死んじゃう人だって、って事。でも11人には絶対ならない。あ! 移民による人口増加の可能性もあるかもしれないね。でもそーゆー「ナニカ」を行わなければ未来は確実に10人以下。で、100年後は105歳が10人以下、いやいやいや、2人いればいい方じゃないか、いえいえ延命技術の進歩で5人? って具合です。そんな具合でこの国の将来がどうなるか? 何も対策を施さなければ、実施しても成功しなければ… そして人口の減少は国力の衰退に直結し他国の圧力というか侵略を許す事に… 50年後、今の人口の70%くらい?、100年後で40%! 最悪の場合、3000年を待たずして… その時が平穏なら? そんなワケないでしょう、なんてこの本には書いてないけど… さて、どーなる? ってか、どうするの? 人がいなくなるって、国が滅び、文化も消滅するって事。私怖い話って大好きだけど、この本の怖さは… 格が違う、別次元だよ! 20180106-2

 顔面を黒く塗って舞台に立つことは黒人に対する差別行為になる、って、そうだったのか。ブラックフェイスの歴史を知らなかったから、「あれま!」と思ったけど、当の黒人の人が「不快だ」と言ったならそれは差別的行為なんだろうと思う。でもね、イイワケを許してもらえるならば、悪意はなかったのだ、と思う。もちろんそんなイイワケが通るとは思わない。けど、幼児や、天真爛漫に何の差別意識の無い子供に“黒人になってみよう!”と言ったら肌の色を黒くするナニカを実行するんじゃないだろうか? だって「黒人」って言うじゃないかぁ… 人間というシステムにおいて、視覚情報は全情報の70%くらいになると聞いた事が… アレ? 80%だったっけ? 出所もはっきりしないけどトニカク、他との区別に「色」は、とても大きな判断要素、だよね? だから、もうしないしあやまるから悪意が無かったってのは認めてほしい。 …でも、鍋一杯の“黒人になってみようで肌を黒くする”に耳カキ一杯でも「悪意」や「差別の意識」「嘲笑」が入ったなら… それを受け入れる事は出来ないよね? 鍋一杯のコンソメスープに耳カキ一杯のウンコを入れて「この辺りは混じってないから飲めるよ」と言われて、アナタ飲めますか? 私は飲めない、そんなの受け入れられない。悪意はないと主張してもそれはもう汚染されているのだ、誰かの昔の悪意に。そーゆー意味では「ブラック企業」とか言う、黒=悪のイメージって強いよね? そこら辺からもドウニカしていかなくてはならないのだろうか? ああ、道は険しくゴールは遠い… え? …ちょっと待て! 黒人を■■■にたとえたって… そんな事言ってないでしょ! もう一回ちゃんと読んでぇ! 20180106-2+

暴想

 「ベッドで煙草を吸わないで」 急に頭に浮かんだフレーズ。なんか、歌の歌詞? だったっけ? で、次に浮かぶのが「ベッドで卵を産まないで」 なんじゃ? SF? エイリアン? 怖い。 「ベッドでタコスを食わないで」「ヘッドで卵を割らないで」「別府で多摩子と住まないで」「メットでタワゴト言わないで」「ゲットで… 」 …もう、なんか… 年末、じゃない。私の週末、じゃない終末が近づいてる気がする。 「別個で店子を責めないで」いや、だから… 「別途で… 」20171224+++

泥の男

 旅人が行く。季節は… 春・夏・秋・冬? 聞き忘れてしまった、わからない。場所は、ただっぴろい湿地帯、ヒトケの無い場所。長く続く板の道、そこをただ独り、歩く。 と、声が「たぁすけてくれ~ 助けてぇくれぇ~」 旅人は辺りを見回し板の道の先、道の脇に人の上半身を見付け先を急ぐ。たどり着いてみると、泥だらけの男が1人、泥沼に腰まで沈んだ状態であがいている。大丈夫かねと声をかけると「ああ、この通り、あまり大丈夫じゃないんだが、すまないが手を貸してくれないかな、ここから出たいんだ。」 旅人はあまり深く考えずに男に手をさし出す。男はその手を握り「えいや!」と力を込め泥の中からその身を抜く。しかし、入れ替わりに旅人が泥沼に… 「いやすまない、助かったよ」男は泥を落としながら旅人に話す。「すまない。俺の命の恩人を助けてあげたいとは俺だって思うのだが、アナタがせっかく助けてくれたこの命、大切に使おうとも思うんだ。先も急ぐし。 …でも、どうしたらいいかはもう、わかってるだろう?」 男は行ってしまった。泥だらけで泥沼に腰まで沈んだ旅人はあがくが泥沼は旅人を放さない。旅人は助けてくれぇ~、叫び始める。 え? 私が聞いた相手は、旅人か男か? だって? そりゃわからない、旅人を助けて同じ事をして助かった別の男かもしれないし。だからそこには今も泥だらけの男が…
ええ? 女は旅しないの? だって? (T_T#) …ああ、そうだね、昔はめったにね! 20171228

濡れ衣

「あんたが死んだ場所を面白半分にのぞきに行くやつを呪うなら、そりゃアンタが正しい。怖い目に合わすなり、ケガさせるなり、殺すなり、好きにして。だけどね、孤独死したアンタの部屋を掃除に来た俺達にナンカするような事があったら、タダァジャアァ オカネェ! …では始めさせていただきます。」 いつもの様にオヤジさんは宣言して、で、皆で仕事を始める。オヤジさんの宣言通り孤独死した人の部屋の清掃。 でも、オヤジさんとこの仕事をして1年半になるけど、アノ怪談や都市伝説によくある様な話は一切ない。 なかった。けど、今日、人型にシミの付いた畳の撤去中に、グラグラグラ! 部屋が揺れて「ヒゃッ!」誰かが叫んだ。後輩オガタがすぐスマホ出して、しばらく沈黙が続いたが「このヘン震度4、津波の心配はありません、だって」 ああ、やっぱ地震かよ、なんだ、ビビったぜ。 けど「誰が言った?」オヤジさんが言う。「誰が言ったんだ? 『ヒヤ!』って… 」 沈黙… オヤジさんを含めて俺達3人誰も言ってないのは、明らか。だってアレ… 女性の声だった。20171229-2

ドラマチック

 親戚がサンフランシスコから一時帰国したんで、会った。その時の話。
 その夫婦の娘、ロンドンで働いてたけど日本に帰るんで途中、サンフランシスコに寄るけど「会って欲しい人がいる」って言うんだって! ハナシ聞いてる俺は「ああ、それ結婚バナシだよね? きっと。 で、相手は外人? イギリス人? 国際結婚かぁ。 時代はススンだなあ!」なんて考えてたんだけど、その旦那がイチバンに聞いたのは「で、相手は男? 女?」 …え? えええ! そこから? そりゃあ、性同一性障害とか同性結婚とかの話は聞いた事はあったけど… 身近な話題じゃなかった… 時代はソコまで… けど、相手は男で日本人、ただ一回り年が違うんだって。 …つい、なんだ、ソレだけ? とツイ思ってしまった。20171231+

継ぐ者

 私の兄弟も多い。妻も3人姉妹。 しかし、私達には子供がいない… 時々、まあ昔の話だ、今はそんな不作法な事を面と向かって言う人はいない。「子供つくんないのぉ? カワイイのに~!」 私の親も奥さんの親も、この手の事を絶対言わない人だったのはとてもうれしい。 そこで、「子供つくんないの~?」の人に「いいえ! 毎日頑張ってんですよぉ! 毎夜2人で、しっかり手をつないで寝てるんですけどぉ、ナカナカ出来ないんすよぉ~」などと言うと、顔ヒキツラセテそれから何も言わなくなるから面白い。この私がマジメな顔して言うからだろうか? それから「子供つくんないの~?」発言が停まる事も面白い。 …ま、陰で何言われてるかは、 …仕方がないと思ってる。 反撃にも代償は生じる、仕方ない。
 でも… 私の子供が産まれなくて、少しホッとしてるのも事実。 私の子供… 私… 貧しかった青年時代、画家を志し挫折し、建築家を目指し頓挫し、様々な事に失敗したが、政界に進出した後、紆余曲折はあったが首相指名を受ける身分となった、この私。しかし今、世界は私の子供の存在を許さないだろう。もちろん私の存在も。 己の主張が正しかった、とは言わぬ、だが必要だったのだ。疲弊したドイツを再度鼓舞するためには! …何を言っても言い訳だ。もはや動かぬ妻を前に… 覚悟を決めねばならぬ時が来た… さて、私の青酸カプセルと銃は何処かね。20171229+

プロフィール

Author:KU2
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