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遠距離通信

 昔、親父がトランシーバーを持って帰ってきた。職場で不要になったモノ、工事現場で使う様なごっついヤツな。捨てるんなら子供の玩具に、ってんでもらったそうだ。そりゃ納得。トランシーバー1台じゃ確かに役に立たないもんな。電池はまだ生きてたから、スイッチを入れるとソレっぽい雑音がして、ってかホンモノの音がして俺は「オウトウせよ!」とか「リョウカイ!」とかハシャイじゃってもうタイヘン! だったんだって。
 もちろんその夜は、布団の中にも持ち込んで、母親は嫌な顔をしたけど俺はお構いなしで布団のトンネルの中で「キンキューシュツドーねがいます!」なんて遅くまで騒いでた… らしい。そんで、母親が最後に俺の寝てる部屋を覗いた時には、静かになってたんだけど、まだ布団の中で通信ゴッコをしてるみたい。聞き耳を立てると「うん… でも… まだ行かない。お母さんに聞いてからでないと… ナイショなの? いいトコロ? オカシいっぱい? おもちゃも… う~ん、でもお父さんにおこられる」なんて俺がブツクサ喋ってるんだって。母が布団をはがして「何時までやってんの。もう寝なさい!」と、トランシーバーを取り上げたんだけど、予想外に「うん…」っておとなしく寝たらしい、俺。そのあたりの事はいっさい記憶に無し。
 翌日、母親が親父にあれどうして捨てるの? って聞いたら、あのトランシーバーもうカタイッポは山の中、だって。雪崩で倒壊した作業小屋の備品だったらしい。死んだ人はいなかったらしいけどね。母親が高校生になった俺に教えてくれた。でも… もちろん俺は憶えちゃいない。
 ところで… まあゼッタイ聞いてもダメだろうけど、の感じで母親が問うてくる。 …で、さあ。オマエ、あの夜、布団の中でダレと話してたんだい? 母の目は笑っていなかったけど、だから俺ナニも覚えちゃいないんだってば! 20170410+
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