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家禽

 昔ニワトリがいた。地方の社宅で庭もあったんで、親の知り合いの“おじさん”が持ってきたニワトリを飼っていた。小さなニワトリ小屋が庭の隅にあって3羽? だったかな? ニワトリがいた。俺が… あの頃自分が何歳かわからない。ひとりで歩いて庭に出てニワトリを見に行けたんだから… 4~5歳? そんなトコ。で、そのニワトリ、全然トリらしくないんだよ。最初、その“おじさん”が持ってきた時も、親父は「でも朝とか鳴かれると近所迷惑だし…」なんて言ってたけど、鳴かないんだ。クックックッくらいは鳴くけど、時を告げる? そーゆーのまったくなし。なんか、あんまし動かないんだ。昼間は小屋から出てそこいらをウロウロしながら、でもほとんどはヒナタボッコする老人みたい。日が沈むと小屋に入って寝る。ああ、ほんとにじいちゃんばあちゃんだ。で、まあそんなおとなしいトリだったんで、朝食後エサをやるのは俺の仕事になっていた。飼う時、毎朝の新鮮なタマゴを両親は期待したんだが、これが不思議。週に一度、5~6個のタマゴが小屋のワラの中に見つかる。親父が“おじさん”に聞くと、「かけ合わせた新種だからなぁ」とか何とかゴニョゴニョ言ってた、らしい。まあ、タマゴは美味いからいいや、親父は笑ってそう言っていた。
 そんなある日、縁側でスケッチブックにクレヨンでニワトリを描いていた。親父がやって来て俺の描いた絵を見て大笑いして、でも庭にいるニワトリと見比べて… その次の日からニワトリはいなくなった。やって来た“おじさん”は親父に怒鳴られてペコペコあやまってニワトリを箱に入れて持って帰った。
 で、あれから30余年が過ぎて、ある朝テレビで自然に触れ合う機会がない子共ってんで、4本足のニワトリの児童画が映ってた。コメンテーターがナゲカワシイとか何とか言ってたけど、自然やこの世の中を知らないのはどっちだ? そうなんだ… ああ、懐かしい。それは俺が小さい頃に描いた絵ソックリだった。ひょっとして、“おじさん”まだどこかであのニワトリを… 20170504+
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