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茫漠

 眼が覚める。サイドテーブルの時計を見て午前3時と知り、でも起きてベッドから出て母の様子をうかがいに行く必要がもう無い事を思い出し、ホッとしている自分が嫌になる。母と二人この家で暮らした13年間。最後は、地獄… という言葉さえが何かピント外れなのんびりとしたモノの様で。 絶えず変わる容態、予想外の連続、出来なくなる事の増加、悲しみ、怒り、諦め、そして誰にも言えない殺意。でも、乗りきった。介護休暇や有給休暇、使えるモノは全て使った。幸いにも使う事の出来る職場だった。 …不幸中の幸い? そして、もう、あれは1年前の事。ああ、一周忌? そろそろ? でも… 誰を呼ぶ? 誰が来る? 昔を思い出す。父は私が就職して8年目、身体の不調を訴え入院して3ヶ月で死んだ。 膵臓の不調は発見が… 担当医は色々言ったが、返す知識も経験も無く、その死を受け入れた。それからは母と二人、父の残したこの家で… 結婚には縁が無かった。仕事の忙しさや、自身の性格、イイワケや理由は山ほどある様で、何もない。ただ、そんなに必要を感じなかった。そして今、すでに両親の兄弟姉妹はいない。親も、私にとっての両祖父母もいない。 だから、“我が家”はここで、私で終わる。だれもいない家、午前3時と15分。いつもの様に、いつもの様に思考はぐるぐると。だれもいない家に独り。私に兄弟姉妹はいない。父を送り、母の喪主を務め… そして、私は、静かにいつもの恐ろしい最後の思考を繰り返す。私の弔いは誰がするのだろうか。誰がしてくれるのだろうか? 思う、闇の中でぐるぐると。誰も生きていないこの家で。 20170603-2
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Author:KU2
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