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姑獲鳥の日

 最終に近い下りの急行電車。チラホラと座席に座る乗客は、私を含めてみんな疲れ切っている。ターミナル駅、始発の駅を出て… 何駅目を過ぎた時か? 長い、止まらぬ区間を走っていた。窓の外は闇。そんな時… ホホギャァ、ホギャァアァ、ホギャア… かすかだけど、赤ん坊の泣く声! 全員が、少なくともその車両の乗客は全員、顔を上げ辺りを見回した。どこに? 赤ん坊がいるのか! この車両に? 空耳、じゃない。全員が反応していた。でも… 泣き声の主は、どこにもいない。3両全ての車内を確認して報告する人もいた。 これは… けれども乗客の雰囲気が、少し変わった。隣に座った人と「久方ぶりに聞きました、10年ぶり、くらいかな?」「私も最後に聞いたのは…」などと話す人もいる。 そうだろうなあ、私も… 聞いたのは40年以上前の姪がうまれた時の… 誰も、あの赤ん坊の声が超常現象だとか、怪奇現象、幽霊・妖怪の仕業、などと言わない。もちろん何処かにいる猫の声だとも… この国の出生数が0になって5年。誰もその本当の原因や対策を探りはしない。これから先の事を、もう誰も考えたくないのだ。女性がここで、この国で子供を産みたくないと言っても、もう誰も意見できない。ここには不安、いや絶望しかないから。この国は老いた、いや、病んでいるのかもしれない。もう先が無いのかも… なんとかしなければならない、とは思う。けれど私を含めてみんな、 …老いて病んで疲れてしまったのだ。20171019-3
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