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森の中

 森の中。母と一緒に歩いている。母は小さな私と手をつなぎ、でもそれは私を逃がさないため。私は森の中、その先に行きたくない。手を引っ張り、足を踏ん張ってはいるが、母の力の方が強い。子供は非力だ。 やがてそこに、着いてしまった。高い塀に囲まれた大きな家。でもかなり古い。鉄格子の門の間から見える。その門や塀には、乗り越えようとする者に刺さる様に鋭い槍になっている。こんなモノを造った人も、住んでる人もイヤだ、怖い。でも母はさっさと門から入り、家の玄関に向かう。途中、庭にいた男に怒鳴る。「先生を呼んどくれ! こんな意固地な娘を頼んだ憶えはないよ!」
 暗い部屋。先生と呼ばれた男が小さなけれどまぶしい灯りで椅子に固定され動けない私の眼をのぞき込む。そして話し出す。私にじゃない、母に向かって。「う~、再調整してもいいが、お前さんが望んだこの娘の価値も半減するよ。どうするね? まあ、いい方法がないわけでもないが…」 そして再調整はなされた。
 森の中。母と一緒に歩いている。母と私は手をつなぎ、家路を急ぐ。母の手は柔らかく、温かい。「遅くなっちゃったね。今夜は何にしよう? 何が食べたい?」 そんな事を私に聞く、母じゃなかった。私は少し、怖く思った。あの森の中の家で何があったのか? 母は何をされたのか? 母は …変わってしまった、けど、良い。この母とならうまくやっていける。“サイチョウセイ”って良い事なんだ、私はそう思った。20171122++
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