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誰も知れない

 誰も知らない。
 午前3時20分。私の勤めていた会社の事務室。もちろん誰もいない。そこで、私の机の斜め後ろのデスクの小引出しが、机に座って右側にある引出しの一番上、が… すぅ、と引き出される。くり返して言うけど、誰もいない、引出しを開ける人など。防犯カメラが設置されていれば、毎夜毎夜、誰もいないオフィスでの怪奇現象が記録されるんだけど、防犯カメラなんて無い。誰にも知られない時間に、誰にも知れれない空間で、それは起きている。その開く机の引出しの裏にある手紙が貼り付けられていて、机の今の持ち主も、手紙の送り主も、受け取った人も、その手紙を貼り付けた人も、もう誰もここにはいない。 …その人達は、今はもう、遠くへいってしまった。だからその手紙が愛を伝えるモノなのか、憎しみ呪うモノなのか、わからない。ただ、その手紙が、不可思議な現象を引き起こす。誰もいない深夜のオフィスで。
 では… 誰がこの事を語るのか? 私しかいないのだ。ここに、この場所にしかいる事を許されない、私だけが。私の机。私のモノだった机は… いま、他の誰かのモノ。 でも、私が、最後に、いた、この机のある、この場所で… 私は… 見ている。私のいた世界、を、ずっと。見ていたい。ここからずっと、見ていたい。 …そのために、午前3時24分、私は私の机の斜め後ろのデスクの小引出しを、すぅ、と閉める。20171124-2
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Author:KU2
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