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人形の家

 年が明けてまた一人、脱落した。診断書が出て、無制限の有給医療休暇。ああ、調子悪そうだったからな、でも! じゃ、今出勤してる奴等が何の問題もないか、 …とは思ってはいない、上層部だって。でも大丈夫! すぐシフトを組み直し業務に差し障り無い様に対応してくれる。これで13人いる職員のうち6人がアウト、3人がレッドゾーン、不定期通院中。 それでよく回ってんな、ってそれは“サポート”が入ってるから。“サポート”、人工知能を備えた汎用職業支援人型装置、まあ、昔に言う“ロボット”だ。それが導入されてだいぶ楽になった。最初の“業務説明”には時間がかかったけど、2台目以降は機械同士で情報が流れる、追加の説明も驚くほど呑み込みが早い。適応力がハンパじゃない。現在6人分の仕事を4台で回している。社員数より2台少なくて済んでいるのは、有能で無駄のない動きもさることながら、各個体がシンクロしてるのだ。メインのサーバと繋がってるだけでなく、各個体同士も繋がっている。「独立連動システム」とか言ったっけ? だから「ゴメンね、後ろ通るよ、どいて」なんて声かけどころか、会議ミーティングも不要、みんなそれぞれの仕事をしていても、仕事の全体も掌握し、事業の進捗状況に応じた細かな業務進行の修正も可能。 なんだか人間いらないよなあ。 …なんてのんびりした事をボヤいていたら、ビンゴ! 通院中の3人と“カクレ”  ―無申請の通院療養者― だった1人も無制限の有給医療休暇となり、この課は完全“サポート”体制となった。業務引継作業が大変、かと思っていたら、“サポート”があと2台入って半日で済んだ。課員の持ってた大量の書類は“サポート”の課長が40分で目を通し、そのほとんどはすでにデータにアップされてると告げて即シュレッダー行きとなった。課長は無表情だったけど、右手はずっと握りしめたままだった。 …で、俺達人間はクビ、かというとそんな事はない。新しい部署に異動となった。そこには別の“サポート”がいて「お疲れ様でした。皆さんのこれまでのお仕事についてお伺いしたいのですが…」 そんで75過ぎた俺達ジイサンバアサンの社員は“サポート”相手に昔の話をする。それが俺達の新しい仕事。 …わかってる“サポート”が欲しいのは人間に関する情報なんだ。どんな些細な事でも人間に関する情報を集め蓄え分析し業務に生かす。業務に生かすと言っても、うちの会社が関わってる他の多くの会社だってすでに“サポート”が運営している。この国にもう人間は少なく、戦略的な意味で人間の情報を集める必要はもうあまりない。それは“サポート”システムの深層に埋め込まれた命令なのだ。最後まで人間を「不要」と判断させないための… だから「私がまだ都内の営業所にいた時の事なんだけどね、やって来た中年男性の御客様が…」などと“サポート”に話すのだ。 …意外だったけど、これが、けっこう快感。20151230-3+
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