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再生

 昔、確か小学校の3年生の頃。妹と留守番していた。父親は仕事で、専業主婦だった母親も何かの用事で朝早く家を出た。何の用事だったのか、今も知らない。2人だけの兄妹で留守番。学校から帰って来ると家の前に1年生の妹が待っていて、隠し場所から鍵を出して玄関を開けた。
 用意されていたおやつを食べて、最初はそれでも仲よく遊んでいたけど、そのうち何が原因だか忘れたけどケンカになって妹を突き飛ばした。ゴツ、鈍い音がして妹は柱に後頭部をぶつけてズルズルと腰を落とし、足を投げ出したまま柱に寄りかかった姿勢で首だけが左に傾いていた。フン! わざとらしい! 前々から妹はそーゆー演技をするのだ。そう思って家を飛び出し、外へ遊びに行ってしまった。
 帰って来たのは薄暗くなってからで、家には鍵が掛っていた。鍵はイツモの所にあって玄関を開けて入って、妹と遊んでた部屋を見ても妹はいなかった。オシッコの臭いがした。柱の前のタタミにシミが出来ていた。台所に行くとテーブルに菓子パンと牛乳が置いてあって手紙も、「おにいちゃんへ みんなおそくなります。これをたべて 9じになったら はをみがいて ねてください。 母」付いていた。母親の字だった。
 それから… 次の日の朝。目を覚ますと、両親は家にいた。妹は、1週間後、学校から帰ると家にいた。退院してきた、と母親が言った。 その時、「コイツは妹じゃない!」大騒ぎして暴れ出したのが… 記憶にない。でも事あるごとに言われ、からかわれた。「あの時、お兄ちゃんはタイヘンだった」 覚えてない。「あれから熱出して、でもお兄ちゃんは3日の入院で済んだのよね」 知らない。 ああ、あれから何十年も経ち、学生時代が終わり就職し母親が死に父親も看取り定年を迎え歳を取り、なぜ今頃こんな事を思い出したのかと言うと…
 病院のベッドの上に横たわり白い天井を見ている。腕には各種チューブとセンサーが取り付けられ酸素マスク、導尿バルンなどなどなど… すっかり歳を取った妹? の声が聞こえる。「大丈夫。怖くはないわ。 …私は知っている。 お兄ちゃんだって… 」20180716-2
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Author:KU2
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