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カラッポの世代

 定年退職後の再就職先の若い同僚。30歳以上離れてるかな? 歳。でもテキパキ仕事をこなし、慣れない仕事にアタフタしてる私にも的確にアドバイス、いや、もう完璧に指示だな、命令だな、してくれてとても助かる。いい娘だ。 …だから、2人で倉庫の整理をしてた時、つい「モリヤマさんは結婚してんの?」聞いてしまった。興味本位じゃない、こんな事考えたのは今日が初めてだけど、私のシリアイにお見合いさせるのが趣味のオバサンがいて… 独身が不幸で結婚が幸せなんて決まってないけど、でももしまだ独りなら、出会いを提供できれば… でも彼女は、そう説明すると、少し困った様に「ありがとうございます。まだ独身で、いい人もいませんけど… でもいいんです」 ? いいというのは… 「タチバナさんて、御子さんは… 」残念ながらいないんだと答える。「そうですか… やっぱり」 やっぱり? 「私達、タチバナさん達の世代からしたら、皆さんの子供の世代、が私達ですけど…」 スッと近付いて来るモリヤマさん「私達の世代は、カラッポなんです。 なにもない」私の顔をまっすぐに見上げて大きく口を開く。え? 大きく大きく開いた、予想より大きく開いた口の中になにもなかった。白い歯とピンクの舌、その向こうには大きな空洞が、喉の奥が見えないんじゃない何もない空間が広がっているのが、倉庫の天井の蛍光灯の光が吸い込まれていくのが見え… ヒ! 思わず後ずさる。「私達には… なにもないんです。だから、恋愛も結婚も…」 寂しげに微笑む、彼女。 何も言えない。 …でも、ああ、突然私も気付いて、右手を開いた自分の口の中に。 …やっぱり。 右手は舌の奥、喉で狭まる筈の中にズッと入って行った。遮るモノはない。 ああ。モリヤマさん、僕たちの世代、かどうかはわからないけど私も同じ、私にも、なにもないんだよ。20180918+
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