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喪失 =泡と消える=

「あんのぉ~、わたし、ドコに行ったら良いんだろかぁ?」 ヒトムカシ、いや五ムカシくらい前の田舎出のオバサン、みたいな人が銀座の真ん中で声を張り上げた。ほとんどの人は無視し、嗤う人、呆れる人、侮蔑の表情を浮かべる人もいたけど、僕はすぐ正面で、面と向かって聞いちゃったカタチになったから仕方ない。 「どこ行くんですか? そこの階段下りるとメトロの駅ですけど」イチオウ答えた。「その行き先がぁ、わからねぇ…」哀しそうにうなだれてオバサンは言う。う~ん、認知症? 交番どこだっけか? 連れてくしかないよな… ここからだと有楽町の駅近くに確か… 「じゃ、ご案内しましょうか、行くトコロ」最短のコースで、なんとかゴマカシながら… なんて考えてたんだけど 「はぁ… わたしゃあ、ニンチショ、とかじゃねぃよ」タメイキつきながら話す。あれ? いつの間にオバサンの指が僕のヒタイに? 「でもまあ親切のつもりなんだね。それはありがたいけど、でもわたしの行く場所をアンタは知らんみたいだねぇ、 そんじゃ… 」え? 目を擦った。オバサンの背中から白い大きな翼が、2組も? まわりの人は? ありゃ! 時間が止まってる? サイレントのモノクロ映画みたいな世界。あ! 動いてないからモノクロ写真? 色が付いて動いてるのはオバサンと僕だけ。ヴアァサ! 翼が動き風が舞う。あはは、天使みたい、オバサンだけど。あ! そなのか!「ああ、すみません。アナタお名前は?」アホなこと聞いてる、自覚はある。けど、じゃ、ナニを聞く? ゆっくりと空に浮かぶ、翼は羽ばたいてるけど、それで浮かんでる感じじゃないオバサンは答えた。「わたしゃ、高度経済成長。ここはどうやらわたしの居場所じゃないらしいのでね」で、オバサンはどんどんどんどん空高く登って小さくなって、消えてしまった。あれは、忘れもしない1991年のもうすぐ春なのに、妙にうすら寒い日の事だった。20190127+
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Author:KU2
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