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同じ星を見ていた

 休日に病気療養中の友人を見舞う。都会を離れた風光明媚な土地、もう少し行くと海が見える、らしい。面会室、どこかのマイホームリビングみたいなところで「ひさしぶり~」「元気してたぁ~?」(だから、病気療養中なんだって、俺はバカか?)などと他愛の無い挨拶から雑談、職場の近況や最近読んだ本の話をする。そんな話が一段落着いた時、彼女が声を潜めて「ねえ、今からチョットでかけない?」 え? 病気療養中なんだろ? いいのか? 「いいのいいの、ちょっと運動した方が夜眠れるから。先に行ってて駐車場で、ね」 あ~ まあイイか、また送って来れば。ってんで、駐車場で待ってたら、彼女が走ってくる。何をそんなに慌てて、と思ったけどひさしぶりの外出らしいから気がハヤるのかもしれない。 助手席に乗っけて、車を出して、都心に向かう。
「楽しかった! けど、疲れちゃったな。 …今日、タチバナ君の家に泊めてくんない?」助手席で彼女は凄い事をサラッという。 …え? え! ええええええ! 32を過ぎて、すっかり諦めてたけど、もう趣味に生きるんだって決めてたけど、でも夢は捨てきれないで、でもアテは無く… って人生が、変わる? おおお! トモダチ以上には決してなれないと思ってたのに、こんな映画やマンガやモテない男の妄想みたいな事がホントにあるとは! カミサマ! 今日からあなたを信じます! ああああ! あ! 部屋、片付けておけばぁ… でも、ま、いっか。なんとかなるだろ。 あ、でも病院は? 「だいじょぶ、実はさっき連絡しといたの」少し恥ずかしそうに言う彼女の横顔、ああ、こんなに美人だったっけ? アウ、よそ見はいけない、ハンドル握る手に力が入る。そして…
 スマホが鳴っている。止めて彼女をおこさないようそっと部屋を出る。課長から? 「寝てたか? 深夜にすまん。緊急なんだ。フタツキ主任が病院からいなくなった。彼女まだ病状が… もし見つけたら発作を起こさせない様に… 」 …やっぱり、そうだったんだ、だからあんな事。電話が終わって部屋に戻る。部屋は散らかったまま、また大掃除をしなくちゃ。激しい2人の営みの跡、ひとつとして定位置に無い調度品、彼女がこっそりウチの台所から持ち出した包丁と俺の愛用のナイフ、そして。 彼女をおこさないよう、ってもう無駄な努力、か。もう何をしても起きない、よね。趣味が同じ、じゃなかった、彼女のは病気だった。俺のも病気かもしれないけど。4人、か。彼女で最後だろう。ああいう病院なら防犯カメラが俺の車を捉えているだろうし、面会記録もある。ああ、アトどれだけ自由な時間が俺に残されて… と、言いながら荷物をまとめている俺、逃走? 人生の第2部? まだイケる? 俺もタフだね。20190419-2
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Author:KU2
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