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死者の亡国

 労働人口が急激に減少している。道行くバスにもトラックにも「運転手様募集」デパートにもショッピングプラザにも「従業員様募集」 少なくなった労働力は外国人も女性もAIも補えなかった。外国人はもっと良い条件のよその国に行ってしまった(ガラパゴス化した国の技術なんて習得しても意味ないらしい)し、女性は既に子育てとPTAと介護と仕事と町内会とで多忙を極めていたし、AIは高価でよほどの仕事でなければ採算が取れなかった。頼みの綱の未来を担う若者はそのほとんどがコミュニケーション障害を抱え、引きこもり中で現代の過酷な労働に適さなかった。そこで政府は死者の徴用を開始した。死亡後、全ての国民は肉体の修復措置を受け現在の蘇生技術の限界耐用年数である5年を労働に従事させた。もちろん死者の意思はそれなりに尊重はされたが、「働かない」という選択は許されなかった。働かなければ生命保険や遺族年金の支払いは停止される。家族、というか遺族を人質として死者に労働を強要したのだ。これでこの国の経済は一時期持ち直した。死者の蘇生技術は日々進歩したので労働可能期間は5年から7年に、やがて10年となった。そのうち50年、100年も労働可能となる予測もされた。こうして国を支える死者の人口は増え、やがて地方議員を皮切りに政治にも死者が参加するようになり、この国は死者の国となったのだが、ここにきて重大な、致命的な問題が浮上した。いや既に問題はそこにあったのだ。ただ誰もその事に触れようとしなかった。 …死者の減少。死者が足りない。 そこで改憲し、軍事力を強化し、国外に死者を求め始めたこの国に昔の「平和な国」の面影はなかった。だが、仕方のないことだ。政治家をはじめ殆どの国民の脳ミソは腐っていたのだから。20190522+
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