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離別の夜

 悲しいニュースをお伝えしなければなりません。テレビに映るアナウンサーが悲痛な声で伝えだした。本日午後3時半下校中のカタヤマ・ナギサさんが95歳男性の運転する軽自動車に撥ねられ搬送先の病院で午後7時45分心肺停止が確認されてしまいました。カタヤマ・ナギサさんは我が国で最後の小学生で、本来ならその登下校も専用車両で行われる事になっていたのですが、本人と両親、近隣の住民の強い希望により昔ながらの徒歩で行われていました。ナギサさんのご冥福を…
「なんで泣いてるの? おばあちゃん?」 ああ、マーくん、かい? さいごのね、最後の小学生が、子供が事故で亡くなってしまったんだよ。悲しい、悲しい事なんだよ。 もうこの国には… 子供がいない。悲しい、悲しい、涙が止まらない。 さいごの小学生、それは事実だった。この国には20歳未満の純粋国民は存在しない。またこれから生まれる可能性は限りなく0に近い。
「おばあちゃん、夜更かしは身体にわるいよ、今日はもう… 」マーくんはそう言いながら空調システムに鎮静作用のある薬剤の混入を指示、LED照明も就寝色に少しづつ色調変化させる。“おばあちゃん”の座っている椅子はわずかにリクライニング形態をとり、寝室へゆっくりと移動を始める。 マーくん、“おばあちゃん”は言葉を続ける。おやすみ… 「おやすみなさい、おばあちゃん」マーくんは応え、同時に“おばあちゃん”のバイタルデータをサーバに送り、住居管理状態を夜間警備モードにシフト、そして… 「おばあちゃん、いなくなったのは子供だけじゃない。大人だって… 」思わず発した今の言葉を誰に向けて発したのか? 何の為に? この疑問の答えを得るため、明日までの待機モード中にBランクシステムチェックを自身にセットして、マーくんはスリープ状態へ移行した。20190715+
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Author:KU2
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