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森に帰ろう

 夜、食事が終わってキッチンにお皿を持って行った後、テーブルにもどったみんな。テーブルの真ん中には母さんが用意してくれたナシがボウルに山盛り入っていたから。その時「みんなそろってるな? 母さん、お姉ちゃん、ハルヒト」最後に僕を見て父さんは言った。見りゃあわかるじゃん、僕は普通なら言うこの言葉を言えなかった。それほど父さんは真面目な顔をしていた、見た事がないほど。父さんは続ける。「この家を買って10年、引越してきた時は3人だった家族も4人に増えた。いろいろな事があったけど、ココイラがシオドキだ。 …森へ帰ろうと思う。」 え? ナンのこと? 「ニュースで見て、みんな知ってるよな、ニューマイナンバー制度。 …今度のは徹底して、高度で、複雑で、父さんの技術じゃ誤魔化しきれない。 …私達の正体がばれるのも時間の問題だ。だから、森に帰ろうと思う。」だから、いったいナンのこと! オレ、知らない! ナシ食べながらナニ異常な事言ってんの? 母さんも「ハルヒトは“こっち側”で生まれたから、知らないのね。 …私達はね、タフキ、タヌキじゃなくてタフキなの。ケの無いサルがニンゲンなのと同じで、一画“丶”が無いのがタフキ、化学(バケガク)が使えるの。」 … 「さあ、もどろう!」父さんが叫ぶと、もうそこにはモコモコした犬の様なタヌキ、じゃないタフキが椅子の上に。父さんが! でも、見ると母さんと姉さんの椅子にもモコモコ犬、タフキが… パニック! にはならなかった。最近、姉さんが中学校でいじめられてたらしい、やっぱ、僕もクラスで浮いてる。ヘンなヤツ、ってよく言われる。ニンゲンじゃなかったからなんだ。 僕はリビングのドアを開け、玄関の扉も開けた。3匹のタフキは小走りに外の道に出て僕を振り返る。でも、僕はまだニンゲンのまま。どうしたらいいの? 見ると隣の家からもお向かいの家からも、小さな動物、タフキ? が走り出てくる。みんな裏山を目指して走ってゆく。 …ボクタチは案外多いの? そんな事を考えながら、父さん母さん姉ちゃんだったタフキと目を合わせてる。姉ちゃんは少し小さいけど、父さんと母さんの区別はもう僕にはつかない。そして、僕はまだ、どうしたらいいかわからない。 …風が冷たい。=つづく… といいな= 20191012-2
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