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奈利の火

 夏休みの夜。じいちゃん家で寝ている。古い、昔風? 旧式家屋。畳が8枚三方が襖で一方が障子。襖の上は欄間。彫刻がすごくて龍と虎と鳥? 背景の植物も合わせてなんか、この世のモノとは思えない迫力で… 怖い。そして毎年じいちゃんと約束させられる。障子と反対の奥の襖の上の欄間の向こうが赤く光る事がある。ごくたまに、滅多にないけど。火事の様に赤く光がゆらゆらと揺らめくでも、襖を開けてはならない。 …いや、開けてもいい。そこには普通に隣の部屋があるだけだ。でもそこで元の部屋にもどって見上げると、欄間の向こうはやはり炎のゆらめきがゆらゆらと… じいちゃんは言ってた。あれは地獄の火だ炎だ業火だと。なぜかは知らないが、時々、ごくたまに、この家の欄間の向こうは地獄につながる。だけど、見てはいけない、見てはならない、見るな。見ると、 …死ぬよ。おじいちゃんのお父さんの兄弟も1人、おじいちゃんの弟も1人、死んでいるんだって。なぜこんなことを思い出したのか? いま、真夜中、欄間の向こうが、薄明るい。明るさは一定じゃなくゆらゆらと焚き火やランプの明かりの様に、動く。見てはいけない、見てはならない、見るな。見ると… でも。座卓の上にばあちゃんの使ってた椅子をのっければ、僕の身長なら… ゆらめきは誘う様に。
 ドタドタドタドタドタ! 足音が響き襖が乱暴に開けられる。「じいちゃんじいちゃんじいちゃんじじい! あれあれあれあれはぁジゴクのヒじゃああああないないない! ないんだああ! なかったああ! あれあれあれはクカイのゴクカイのドゴクカイのおおおおお! お、ヒ! ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒィ、ヒィヒィイなんだあああうあ!」起きて灯りを点ける。6歳の孫は笑っている? 笑い過ぎている。醜くゆがむ顔でもヒヒヒヒヒィ、ヒィと笑いが止まらない。目は血走り、鼻血を垂らしたまま、ああ小便までも? 孫が叫ぶ「しなないしなないしなないっ! アレをみたらしなないぎゃははははははは、はあははははは! オレはしなな」 伯父は30歳でアレを見た。弟は18で。二人とも話も出来ずに死んだ。だがやはり若いうちなら… 孫に合わせて私も嗤ったアノ時を思い出して。20191208
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Author:KU2
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