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鎮魂歌

 事務室にいると内線電話が鳴った。カウンターからの電話で、自習室で歌を歌ってる人がいる、と利用者からの苦情。 ったく! 受話器を叩きつけて舌打ちした職員が事務室を出て、2階の自習室へ向かう。あ~あ、イヤンなるねぇ。公立図書館なんて今はヒマ人のたまり場だもんな! 知識の殿堂だなんて言われてたのは昔の事… いい利用者もいるけど、カンチガイした人の多いこと多いこと。 …でも、それは心の中、ワタシは黙って事務室を出て階段を昇り自習室に向かってる。アイツ、事務室を飛び出した職員1人で対処するとヤバい事もあるからね。自習室。図書館内の資料、図書を閲覧するためじゃなくて、持ち込んだ資料を使い学習できる部屋。自分の部屋でやってるとついマンガ見ちゃうんだよネ、って利用者もいれば、資格試験の勉強したいんだけど六畳一間に兄弟三人じゃ落ち着いて勉強できないんだ、生活かかってんだよ! なんて事例までイロイロあるのが世の中。 …関係ないか。先行する職員が扉を開け自習室に入った。入れ違いで女性がでてくる。オレとすれ違う時ニコリと微笑む。お! 美人? けど惜しい顔を見なかった! ? 階段を降りる女性を見送っていると、自習室から出てきた職員とぶつかりそうになる。アレ? アイツがブツクサ言うには自習室で歌ってる奴なんていない。じゃ、今の女か? でもそうなら、半数、いや、三分の一くらいの利用者は非難の目線で彼女を送る、はずだ。それがない。みんな自分のしている事に集中している… 歌ってた人知りませんか? そんなバカな事聞ける雰囲気じゃない。部屋を出て1階の内線をかけたカウンターに向かう。歌を聞いた奴って… アイツが訊ねる。カウンター職員は… 「知らないよ、忙しくてそんな事…」んで、アイツは貸出を3件ほど手伝って、所蔵調査を2件こなして事務室にもどる。 ハハ、ゴクロウサン。事務室への通路 ―長寿と言われたLED照明が切れて交換することもなく暗い通路― で しゃあぼんだあま とぉんだぁあ やぁあねまぁあで とぉおんだぁあ ゆっくりと噛みしめる様に、微かに、でもはっきりと、聞こえた。この歌は… 喪った幼児への鎮魂歌と言われるこの歌。ハハ、なんだい、俺達図書館員は死んだガキかい? フザケンナ! なんて思ったけど… レクイエムを歌ってくれる存在がいるって事は、…うれしい。もっとも、先を行くアイツ、生きた職員には聞こえてない様だけどね。利用者は増えているんだ、特にワタシみたいな人外の利用者は。そう、実績は上がってるんだ、講座参加者数や貸出数も。人外も含めて。でも、金は無い。人員も予算もどんどん減らされる。この図書館も持って、2~3年。市自体の存続が問われる時代に貸本業を… 図書館は違う! 言っても無駄な事を怒鳴りたくはなるが… とばずぅに きぃいえたぁあ …ああそうだ。俺達には解かる。この国の知性が円熟し豊かな実りを成す事は… もう、ない。でも、その、ギリギリの時まで 20141221*-2+
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