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菅の器

 昔、知人のスイスのマンションに泊まった事がある。窓のサッシはこれが本物だとしたら、私んちのそれは玩具だ、と思うくらい重厚でガラスも厚くどっしりとしてた。家に帰って自分ちの窓を揺さぶったらガタガタしてて悲しくなった。玩具は玩具でも昔の学習雑誌に付録で付いてた紙の玩具だ… で、室内は外の音がしないし声も聞こえない。よく耳を澄ますと、ああ、ピアノの音が、してる? してるかな? って感じ。造りが違うのは質だけじゃなくて、システムも。そこのマンション外ズラは日本のそれとそう変わらない駐車場があって緑があって低層のマンションが配置されてる。でもその駐車場って外来の人用で住人の駐車場は地下にあるのね。目立たないトコに入口があって無線のキーみたいなのを住民は持ってて住んでる人の車はソコに入るの。サンダーバード秘密基地か、ウルトラセブンの地球防衛軍極東基地みたいなの。なんか各部屋用の倉庫もそこに在るらしいし、スイスだから核シェルターもあるんだろうな。だから、たぶん私の国のマンションはそーゆーのの外見だけをマネして造ったんだろうなあ、ホントにマネしなきゃならない事をすっぽかして、見てくれだけコピーしたんだろうなあ。なんで今思い出したかというと人生の晩年になって自分の成した事について考えていたらそれは海岸で手にした砂の様に指の間からサラサラこぼれ落ちていくようで、手を開くそこには何もない、何もないんだ。そんなの自分だけじゃ嫌だ、この国の人間みんなミンナみぃ~んな、そうだったんだと思いたくて思い出したんだ。幸せになりたくて、デカい事をしたくて、みんなに尊敬されたくて… でも、なにも残ってない。幼子が戯れに作った砂の器の様に、所信表明演説の様に。 …情けない、とても。
【追記】まだ失望するのは早い、かもしれません。でも、なんかそんな予感がする、んですよ。20201031-2
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