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時震源

 「いいか、ここで待っているんだ。必ず迎えが来るから」これが父親が発し私が聞いた最後の言葉。私の最も古い記憶。でも、夕闇が濃くなる頃、公園のベンチにいた3歳の私を迎えに来たのは近所の住人から通報を受けてやってきた警官だった。こうして私は棄児として育つ。だから私が時空間移動装置、タイムマシンと言われるモノを創った理由は理解してもらえると思う。 …父親に会いたい。自分が何者なのか知りたい。そんな思いが天に通じただけで創る事が出来るモノではない筈なのだが、それは完成して、今私はあの公園にいる。離れたベンチに3歳の私を残し、去ってゆく男。気づかれぬ様に尾行したつもりなのだが、人気のない路上で父親は振り返り私の名を呼んだ。「わかっている。出て来い、話す事がある」 初めて会う、と表現するのは間違いだがそんな事が問題なのではない事はすぐ理解できた。父親はどうやら私なのだ。今現在の私に推定10年を加齢した姿、それが父親? 「理解したな。私はお前だ。では失礼するよ。私には行かなくてはならない場所と時間があるのだが、ヒマが無い」理解などしていない、謎は増えた、自分を捕まえ問いただそうとするが、対峙する私と私の間に突然出現したのは時空間移動装置、ただし私の物より使い込まれ汚れ修理改造された跡が見て取れる。その時空間移動装置には今の私の装置にはまだない遠隔操作機能もしくは自動運行機構が装備されているらしい。私、10数年後の私は消え去った。私は私の装置を隠した場所へ戻る。警官が2人大型自動2輪に偽装した装置のそばにいて、しかしこの時代の警官でない事がわかる。緊急時間停止装置を作動させ隙をつくり装置を起動しこの時空から離脱する。さあ、もう元の時空にもどる事は出来ない。この時代の警官ではない警官 ―時間軸を移動する警官― が存在するならば戻るべくは…
 「待ったか? 迎えに来たぞ」 私は首を振り「ぜんぜん」と言いながらベンチを降りる。父親と、なぜか少し若くなった父親と手をつなぎ歩き出す。次はどこに行くのかな?と考えた時、世界が震えた。地震? ぼんやりと考えながら。20210101-2+
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Author:KU2
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