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生える意味

 海から少し離れた丘の上。曇天の下で海を見る。波は静か。砂浜に人影はない。浅瀬に大きな丸い船。破棄された船。昔の船。漂着船。今は塗装も剥げ落ち錆びて元の色もわからない船。遠くから旅してここが最後の港。 …港じゃないか、海岸。 多くの乗客は、乗組員は、生きて船を降りることは叶わなかった。無言の下船。でも、その光景を見たわけじゃない。生きてこの船を降りた、そんな人達も、いたのかも知れない。そして仲間を、死んだ仲間をこの地に埋葬した、のかも知れない。私達のすぐ後ろにある朽ちた墓標がその証。 そして生き残った人々はやがて、帰るべき所に帰って行く事が出来たのか、ここでその生涯を閉じたのか。 …それは、わからない。ただ、今、彼等はいない。私達は、ここに、この星に流れ着いた船の埋葬された乗客の墓から生えた私達は、それを知って、ここにいる。それを知ってここに生えている。昔この星に流れ着いた者達の事を知って、彼等を思ってここに生きている。 …私達が何者なのか? それはわからないけれど。20210111+
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Author:KU2
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