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沈黙の歓待

 本を捨てる。1冊1冊確認して、これはもう読まれない、これは傷みが激しい、修理しても誰も手に取らないだろう、これは… 本を捨てる。あと5万冊は捨てなきゃならない。そうしないと収蔵できないのだ、家に。不況で収入が減ってバイトも出来なくて、小さな家に引越ししなけりゃならない。だから大量に、本を捨てる。これはいらない、これはもう古い、これは壊れている、これは… 買った時は、むさぼるように読んだ、家族も読んだ、友人知人にも貸した、話題になった、盛り上がった、楽しかった、昔の話、過去の夢… 本を捨てる。哀しい、憤りを感じる、情けない、自身の知性が削がれる思いだ、痛い、苦しい、でも、慣れた。本を捨てる。5万冊の本を捨てる。新しい小さな家に収まるように減らしてゆく。全部は持って行けない、価値の無くなった、古く、役に立たない本を、捨てる。立派な本棚ももう要らない、小さな家では置くところが無い、本が無くなるのだから、本棚は不要… アレも要らない、ソレも要らない、捨てる、捨てる、捨てる… 「コレも要らない」子供が私を指さす。 そうだね、大量の本を手放すなら、その本を管理し、読書相談にのり、読み聞かせをする“ワタシ”も要らない… 最後の本の選別が終わった時、小さな指が私のスイッチを切った。20210207
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Author:KU2
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