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別離

 最後におばあちゃんの和室に行ってみる。そこには文机がひとつと座布団が1枚しかない。「おばあちゃん、いない」マサルがつぶやく。「そうだね。お別れ、したかったね。 でも、急な事だったし… 」家中を見て回った両親が階段を下りてくる。「2階は異常無し。 …さて、そろそろ」と言いつつ、この家から離れがたいのは父さんも母さんも一緒。「おねえちゃん…」弟が差し出した手を握る。父さんは今頃気づいた、って風に「あ。おばあちゃん、たぶん今頃、ヒデおじさんと一緒…」「そうね」母さんが溜息を隠してうなずく。そしてリビングの祭壇に置かれた写真を見ながら。「まさか、おばあちゃんが、ねえ…」「母さん、もう、イイじゃない。 …あんまり言うと父さんが」私が慌てて言葉を重ねる。弟もコクコクうなずいてる。ホントに分かってる? 「ハハ、 …メンボクない」父さんは頭を掻く。そして、「じゃあ、もういくか?」私は弟と手をつないだままもう一度祭壇の写真を見る。4つの写真のひとつ。ああ、できればこれじゃなくて、桜の木の前で撮った方の写真を… それだけが心残り。ああ、もちろん、おばあちゃんの事も… 「おねえちゃん、」振り返った父さんが続ける「さあ… 逝こう」20210223+
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Author:KU2
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