FC2ブログ

呪樹

 おばあちゃんが最後の入院をする前に、「怒らないでね… 他に、渡せる人がいないの」と小さな箱を私にくれた。小さな箱。ルービックキューブ? あの立方体のパズルがちょうど入るくらいの木箱。古い木箱。おばあちゃんの手作りの綺麗な赤い袋に入っている箱。「 …怒るって? おばあちゃん、これ、何?」溜息をついて、あれ? なんかおばあちゃん一回り小さくなった感じで「私もわかんない、私も『開けちゃいけないよ』ってひいおばあちゃんから渡されて… 」
 こんな風に、おばあちゃんは入院する前に全ての持ち物を整理した。4畳半の和室はガランとして、そして、だから、おばあちゃんはここに2度と帰ってこなかった。
 おばあちゃんは、朝の検温です、って声を掛けられた時もう… 入院した原因の病気とは全く関係なく安らかに、って担当医さんは言ってたらしいけど。でも、本当に安らかに、だったんだろうか? というのは、初七日の日、おばあちゃんの部屋におばあちゃんがいた。いつもの場所にいつものように座って、そして私を見て「100年経ってしまっ」言い終わる前に消えてしまった。 …おばあちゃん。 ああ、そしてこれが私達の平穏の終わりの始まり、 …だったの。20210223+
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

Author:KU2
 改行が嫌いです。嘘とイイカゲンが好きです。…改めまして、FC2ブログへようこそ!

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR