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余生

 鍵は掛かってないよ、入りたければ入ればいい… ドアが開き逆光の中に浮かんだのはアノ狼だった。 でも、見る影もない。長い舌が垂れ、目はあらぬ方を見ている、それぞれ。腹は異様に膨れ重そう、それはそう、私と私の祖母と祖母の知り合いの猟師が寄ってたかって詰めた石が入っているのだから。狼はびしょ濡れの毛皮のままで戸口に立ったまま、動かない。動かないで、目だけで私を探している。 私、あの時からどれだけの時間が流れたの? 祖母も、母も今はいない。私だけが、この祖母の家に。息子と息子の嫁、孫。一緒に暮らした事もあった。幸せじゃなかったワケじゃない。けど、何処かほんの僅かだけど決定的な何かが少しずれていた。私は自由を選んだ。そう、まだ残してあったこの家を。祖母と同じ様に。そう、今ならわかる。祖母がここに住んだ理由。 でも、そんな事、今はいい。 オオカミ、狼。さあこちらにいらっしゃい。あの時の続きをしましょう。もう邪魔をする狩人はいない。オオカミ、狼。 だけど狼はツブヤク虚ろな目をしたまま「アカズキン、アカズキンハドコダ? ワタシノカワイイアカ」私はここ、狼、ここに。でも狼は… そこで突然沸き起こった怒りの憤怒の塊が私を動かし私は枕の下からスターム・ルガーLC9sを引き出し、狙いを定めて2連射する。すぐに弾倉を外し訓練通りに弾薬を補填する。狼は消えている。狼は、最初からいなかった? えええ! そして狼の記憶も私から消える。明日の私が午後の微睡から目覚めかけるその時まで。開発発展からこぼれ落ちた森の中。毎日の銃声を聞く者は、いない。20210410-2
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