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誰かが道をやってくる

 むかし、教室で休み時間、同じクラスの子達が話をしていた。ナニナニ? ナニ話してんの? って話しかけると、振り向いた男の子の顔はマッサオだった。「ユカちゃんがオドカすんだ。コワい人が来るって… 」 オドカしてないよ、ユカちゃんが反論するけど、ユカちゃんだって、泣きそうな顔してる。なんか、非常事態で、泥沼って感じ。
 だから、「ねえ、それで、ダレが来るのさ?」って私が聞いても、みんな詳しい事は知らない。親や、おじさんおばさんが話してるのを聞いたくらいで、しかもそれを詳しく聞こうとすると、大人は「子供には関係のない話だ」と笑いだす。それはとても、とっても不自然なんだそうだ。
 そんなんでもイロイロ断片的な話を聞き集めると、そのダレカがぼんやり見えてくる。ソレは外国の人で、ヒゲを生やした大男、らしい。黒い長靴を履いて、大きな角の生えた獣を従え、そして、どこに隠れてもダメ、らしい。どんなところにも入って来てしまうんだって。そして夜、子供をねらってやって来る。大きな袋と、大きな包丁を持っていて… 
 さあ、席について! せんせいが教室に入って来て、私達の話は中断した。でも、帰る時までには、ソレが来るのは年に1度、とか、子供の血で染めた赤いコートを着ている、とかイロイロな、コワい話をもっとたくさん聞いた。でも一番ビビったのは、年に1度のその日があと4~5日でやって来る! って事だった。
 そして… そして、あの夜、赤い服の大男、黒くビンビンにとがったヒゲの、鍾馗様って言うのか、昭和のプロレスラー、ブルーザー・ブロディ? 今なら、ハリーポッターの映画に出てくるルビウスって森番? みたいなのがすごく怒って追いかけて来る、家の中なのに、廊下なのに長靴を履いたまま、巨大なカタナの様な包丁を振りかざして… そんな夢を見て、泣いて飛び起きた。枕元にあった24色の色鉛筆とスケッチブックのプレゼントなんて気付きもしなかった。
 クリスマスなんて、まだ日本には無かったんだ、おじいちゃんは、でも懐かしそうにサンタクロースを知らなかった頃の話をしてくれた。赤いコートは子供の血染めじゃないし、もじゃもじゃの髭は黒じゃなくて白。大きな角の獣はトナカイだったんだって。アハハ、変なの! おじいちゃんは、当時は映像資料が無くて、なんて言うけど、やっぱりダメダメじゃん!  …でもさ、サンタクロースが刀みたいな包丁を持って、って変じゃない? 僕が聞くと、おじいちゃんはハハハと笑って、「おや、そうかい。昔のサンタさんはみんな持ってたんだがなあ、『悪いごはいねがぁあ!』って言ってさ」 おじいちゃんはナニカと勘違いしているか、ウソを言っているんだと思う。だって、父さんはいつも言ってる「じいちゃんはトンデモないホラ吹きだ」って。20151217+
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Author:KU2
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