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御客様

「はい、お電話ありがとうございます。私タチバナと申します。」マニュアル通りに電話を取って応える。「あの~、そちらのベンチの所に財布を忘れたんですが…」女性、年配の、80前後かな? 「お財布をベンチに、あのどの辺りの? ああ、ハイわかりました。確認いたしますが、おかけ直… お待ちいただけますか。ハイではすぐに確認いたします。」アレアレ、でも財布を無くしたらアセルよなあ。
「お待たせいたしました。ロビー全ても確認したんですがお財布は在りませんでした。どこか他で、と言う事もございますから警察に遺失届を出された方が」ハアそうですかありがとうございます、とかナントカ語尾の方はフシュルシュルと言った感じで電話は切れた。
 翌日。「お~い。タチバナ、電話」発信者の名前を聞いて嫌な予感がした。「あのそちらに置き忘れた財布なんですが…」「ハイ、昨日お話した通り、こちらにはありませんでした。その後、フロアの係りの者にも確認したんですが、やはりありませんでした」「困るんです。中に入っていたのは二千六百円くらいの、あなたにとってはハシタ金かもしれませんけど、あれがないと私」オイオイオイオイ、ヤバい? 「御客様? おわかりになりますか? こちらには無かったんです。警察に遺失届を」ガチャン! 電話は切られた。
 次の日。「タチバナさ~ん、電話ですよ~」もう最初から悪い予感、予感? 悪い確信しかなかった。「タチバナさん、あなたの携帯の番号を教えていただけませんか。私の財布を返してください。あなたの奥さんが病院に勤めている事は解かってるんですからね。あなたにとっては遊びでも、私の大切な生活のためのお金返してください、返して、返してぇ、返してええええ!」
 なんだ? 何なんだ! あああ、そそうだ言ってる事メモしといた方がいい、時間とかも。机の引き出しを開けて筆記具を出そうとした。開けた俺の机の引出しの中に薄汚れた女性用の紅い財布が。電話が叫ぶ「返してえええええええええ!」20160228+
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