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デュカリオン

 曇天の下の海。砂浜に立ち海を見る。正確には海に突き刺さっている、船を見ている。座礁船、巨大な船。それが海底に突き刺さっている。遠くから旅してきた船は汚れ、あちこち錆も浮いている。再び動く事は、無い。死んだ船。
 この船が運んできた難民は3万人。この地に適応できたのは1万人。子供と老人は… そして船首近くにいた者は運が無かった、と言う事にしておく。そして、当初はこの地を訪れた難民に親愛の情を示した多くの住民も、やがて真実を知る。彼等来訪者に期待した“進んだ科学技術”の伝授は不可能だという事を。しかしこれはあたりまえの事。誰が享受している文明の仕組み全てを理解し他者に伝授できる? そして、訪れる先が天国か地獄かわからない場合、手持ちのカードは隠す。もちろん仲間にも。となれば、扱いは一変する。悲劇、としか言い様は無い。異文明との出会いは必ず滅ぼすか滅ぼされるか、だと証明された、またひとつ。
 再び船を見る。赤い空を背景に緑の海に突きたった宇宙船。美しいとは思えない、禍々しい配色に吐気さえ覚える、私達には。船腹にはこの星でいまだ解明されていない言語で船名が記されている。「ARK-8945」地球を逃げ出した1万隻の中の1隻… 20150513-2
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