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闇の声

 近くの山に別荘を持っている。先々代から引き継いだもので、かなり古い。1階にキッチンダイニングバストイレ、2階に寝室。5年前、父が大々的に改修工事をしたんで、外は古臭いが中は快適。ある夏の日、私の娘と甥がこの別荘に写生に行く事にした。娘は趣味で水彩画を描く。甥が車を運転し、朝8時頃家を出て、それが娘と甥を見た最後となった。
 警察も動き、事件事故の両面で捜査がなされたが、2人は見つからなかった。車は別荘のカーポートにあり、施錠されていた。日帰りの予定だったので少ない荷物は、別荘の中で発見された。別荘も施錠されていた。
 3ヶ月後、私は独りでこの別荘に停まっていた。真夜中目を覚まし、1階に降りキッチンで水を飲む。キッチンの床には70センチ平方くらいの曇りガラスがハマっている。分厚い強化ガラスの上げ蓋だ。一見すると床下収納庫への入り口の様。しかし施錠されていて曇りガラスの下にはボンヤリと鉄格子が見える。そこからルミライトスティックが発する様な緑色の光と共にノックが、いやガンガンと鉄格子を叩く音がする。「だ、誰だ?」
「オ、オジサン… ボクデスゥゥゥ」 それは3ヶ月前行方不明となった甥の弱々しい声。どうしてそんな所に? 「ア、アケテクダサイ… ココカラ、ダシテ…」 またガンガンと格子を叩く音。何かが変だ。声はカスレて今にも消えそうに、息も絶え絶えな様子なのに鉄格子を下から叩く音は怖いほど力強い。
「キ。君なのか? ノリオ君なのか?」
「ソウデェス、ノリオデスゥ… オジサン、タスケテ…」 甥の名前はノリオじゃない。「ノリオ君、誕生日はいつだっけ?」 「ア、アアアゥ。タンジョウビワァ、オショウズキ… オショウヅキノ… 」 何なんだ? オショウヅキ? お正月? 1月か? 「嘘だ! おまえは誰だ? なぜそこに…」 「オオオオ、オジサァンン、タスケテ、タスケェテェェタス…」緑の不気味な光と共に声は小さくなっていき闇となる。
 アレは誰だったのだ、娘と甥の失踪に関係するモノなのか? それとも錯乱して変わり果てた甥なのか? そーいえばこの地下は… 鍵は何処かに… それになぜこの蓋は曇りガラスなのだ? なぜ鉄格子との2重なのだ? そして、なぜここに? 思い返すと、曇りガラス近くにまで近づいた顔は普通の人の1.5倍近くなかったか? ああ、もう何がナニやら… ドスンとキッチンの床にへたり込んだショックで、 …目が覚めた。午前4時、したまま寝てしまった腕時計で時間を知る。久方ぶりにリアルでホラーな映画みたいな夢を見た。いや、ホント怖くて今、布団から顔が出せない… 20170116-2
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Author:KU2
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